ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2023.10.24
カートリッジ(総合)

レコード針の針(スタイラス)カバーについて Vol.1

本ページでは、レコード針(カートリッジ)の付属品もしくは本体部分の機構のひとつであるスタイラスカバー(針カバー)についての解説を行います。

最初にスタイラスカバーの概要を述べた後に、この『アナログオーディオ大全』の他ページや弊社公式Youtubeチャンネルも交えて具体的な内容をお伝えします。基礎的な内容の解説ページもございますので、先に「カートリッジについて Vol.1 基礎編」のお目通しをお勧めします。

スタイラスカバーとは

Ortofon MC Xpressionと同機専用のスタイラスカバー

スタイラスカバー(針カバー)は、カートリッジのスタイラスチップカンチレバーを含む振動系(下図参照)部分を保護するためのパーツです。振動系の中でも、スタイラスチップやカンチレバーは一種の接触式センサーでもあるため高性能な機種ほど繊細な構造となる傾向にあり、その性質上カートリッジ本体のハウジング部分から突き出した状態になっているのが一般的です。

MC型カートリッジの振動系拡大図

スタイラスカバーはカートリッジを保管する際には必要不可欠なパーツであり、基本的には新品購入時に付属品として本体に取り付けられています。またスタイラスカバーは各カートリッジのハウジングに合わせて設計されているため、同一シリーズを除いて基本的には他機種や他社製品との併用は考えられておりません。

Ortofon MC Century(生産完了)と、3Dプリンターで作製された専用カバー

そのため、カバーを紛失したり破損させることのないように注意して管理しておくことをお勧めします。そして生産終了機種の場合は機種やシリーズごとに専用設計されたスタイラスカバーの入手が不可能であったり、極めて困難となる可能性が高くなりますので、特に慎重な管理を行ってください。

カートリッジ本体に跳ね上げ式スタイラスガードが付いていた、Ortofon MC 20W

なお、かつて販売されていたカートリッジでは、ハウジングにスタイラスガードが嵌め込まれており、レコード再生時にはこれを動かして使用するタイプのものも多くありました。上の写真はオルトフォンのMC 20Wですが、 不使用時にはガードを下向きに、再生時は上に跳ね上げる方式を採用しています。こういった嵌め込み式のガードは、脱着式のカバーに比べて紛失の恐れが低かったり、操作が簡便などの利点はありますが、レコードプレーヤーのダストカバーと同様に再生時に不要な共振を発生させる要因にもなり得ます。また、ガードの誤操作などによって針先部分を巻き込み、破損させるケースもみられたことから、オルトフォンの現行製品では針先部分の確実な保護が可能で、再生時には外すことが可能な脱着式カバーを主体としています。

本ページおよび次ページでは、オルトフォンの現行カートリッジに用いられているスタイラスカバーをMM型(本ページ)/MC型(次ページ)に大別した上で各カバーの特徴や使用時の注意点を解説してゆきます。


Ⅰ.2Mシリーズのカバー

オルトフォンの2Mシリーズは、全機種のボディ形状が同一

オルトフォンのMM型カートリッジ2Mシリーズのスタイラスカバーの形状は全機種で共通です。しかし、RedBlueBronzeBlackLVB250はBlackと共通)・Mono78はMonoと共通)と5色に分かれているため、スタイラスカバーにもそれに準じたカラーとなっています。また、スタイラス交換のために新品の交換針(Stylus 2Mシリーズ)をお求めの場合は、製品保護を目的としてこの純正スタイラスカバーが取り付けられています。

オルトフォンの2Mシリーズのスタイラスカバーを外す方法

なお、オルトフォンでは公式YouTubeチャンネルで2Mシリーズのスタイラスカバー脱着方法を紹介していますので、下の動画のお目通しも併せてお勧めします。

そして、紛失などによってスタイラスカバー単体の入手を希望される場合は、下記リンク先の弊社公式オンラインショップをご利用頂くか、弊社製品お取扱いの販売店様経由でお取り寄せを依頼されることをお勧めいたします。

オルトフォン公式オンラインショップの購入ページはこちら


Ⅱ.旧Concorde(生産完了)/OMシリーズのカバー

Ortofon Concorde Scratch/OM Scratch(生産完了)

Concorde/OMシリーズは、先述の2Mシリーズと同様にMM型の機構をもったカートリッジです(Hi-Fi用途の一部旧製品を除く)。近年では多くの製品がDJ用途のカートリッジとして活躍していますが、2018年のオルトフォン創立100周年を機にMkⅡシリーズ(後述)へとモデルチェンジがなされました。

ここでは、モデルチェンジ前のConcorde/OMシリーズを便宜的に「旧Concorde/OM」と呼称します。注意点としては、旧Concorde/OMシリーズのスタイラスカバーと現行のConcorde MkⅡシリーズのカートリッジ本体形状は異なるため、旧シリーズのスタイラスカバーを現行シリーズに対して使用すると双方の破損の原因ともなり得ますし、先端部分が抜けなくなる恐れもあります。そのため、旧シリーズのスタイラスカバーは現行シリーズに使用しないでください。

Ortofon 旧Concorde/OMシリーズ共通のスタイラスカバー

なお、オルトフォンでは公式YouTubeチャンネルで旧Concorde/OMシリーズのスタイラスカバー脱着方法およびスタイラス(針先)交換の方法を紹介しておりますので、下の動画のお目通しも併せてお勧めします。

また、本シリーズのスタイラスカバー単体の入手を希望される場合は、下記リンク先の弊社公式オンラインショップをご利用頂くか、弊社製品お取扱いの販売店様経由でお取り寄せを依頼されることをお勧めいたします。

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Ⅲ.Concorde MkⅡシリーズ(現行)のカバー

シリーズのフラッグシップである、Concorde MkⅡ Elite

Concorde MkⅡシリーズは、DJカートリッジとしても長い歴史を誇った旧Concordeシリーズ(先述)を2018年にフルリニューアルしたモデルです。

特徴的なフォルムをもったハウジング(カートリッジボディの外殻部分)の形状も変更されたため、スタイラスカバーも新規に設計されました。そのため本シリーズのカバーは旧Concorde/OMシリーズには対応しておらず、旧Concorde/OMシリーズのボディに現行MkⅡシリーズのスタイラスカバーを装着することはできません。

Ortofon Concorde MkⅡシリーズ共通のスタイラスカバー

なお、オルトフォンでは公式YouTubeチャンネルでConcorde MkⅡシリーズのスタイラスカバー脱着方法およびスタイラス(針先)交換の方法を紹介しておりますので、下の動画のお目通しも併せてお勧めします。

また、本シリーズのスタイラスカバー単体の入手を希望される場合は、下記リンク先の弊社公式オンラインショップをご利用頂くか、弊社製品お取扱いの販売店様経由でお取り寄せを依頼されることをお勧めいたします。

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Ⅳ.VNLのカバー

Ortofon VNL

VNLは、ヘッドシェル一体型のConcordeシリーズ(先述)とは異なり、通常のカートリッジと同様にヘッドシェルに装着して使用するタイプのDJ用カートリッジです。

Ortofon VNLには、針先動作の柔らかさを変えた3種類のスタイラスが存在する

また、本機には針先部分のコンプライアンス値を変えた「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」の3種類の交換針(スタイラス)が存在します。DJプレイ時のプレイスタイルや、またはそれぞれの音色の好みにあわせてスタイラスを挿し換えることで、より一層アクティブなレコードライフを楽しむことができます。

Ortofon VNLのスタイラスカバー


なお、オルトフォンでは公式YouTubeチャンネルでVNLのスタイラスカバー脱着方法およびヘッドシェル取付の方法を紹介しておりますので、下の動画のお目通しも併せてお勧めします。

また、本シリーズのスタイラスカバー単体の入手を希望される場合は、下記リンク先の弊社公式オンラインショップをご利用頂くか、弊社製品お取扱いの販売店様経由でお取り寄せを依頼されることをお勧めいたします。

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レコード針の針(スタイラス)カバーについて Vol.2へ続く

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