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アナログオーディオ大全

2022.05.23
カートリッジ

カートリッジについて Vol.21 2Mシリーズ編Ⅱ

このページでは、「カートリッジについて」のVol.21をお送りします。

本ページは、レコード針(カートリッジ)についての専門的な内容となる、オルトフォンのMMカートリッジ「2M」シリーズについての説明を中心としています。基礎的な内容の解説ページもございますので、先に「カートリッジについて Vol.1 基礎編」および「カートリッジについて Vol.20 2M編Ⅰ」のお目通しをお勧めします。

2Mシリーズ各機種の特色(ステレオモデル)

オルトフォンの2Mシリーズは、各機種のサウンドイメージを表した6色のボディカラーで彩られています。特にステレオ仕様のカートリッジは4色に分けられ、そのカラーがそのままモデル名となっています。このサウンドイメージとカラーリングは、MCカートリッジのMC QシリーズMC Cadenzaシリーズ、またオーディオケーブルのReferenceシリーズでも共通化されています。

MC Cadenzaシリーズ
Referenceシリーズ

先に述べたステレオ仕様のカートリッジとReferenceシリーズのケーブルに施された4色のカラーリングは、それぞれが共通のサウンドコンセプトをもつ製品であることを示しています。また、2M→MC Q→MC Cadenzaとアップグレードを行ったりオーディオケーブルの選定を行う際も、カラーごとに共通化されたサウンドコンセプトによって製品の音色をイメージしやすくなるよう考慮しました。

各カラーのサウンドコンセプトは以下の通りです。

・Red   

エネルギー感に優れ、ウォーム(暖かみのある)でダイナミック、かつオールラウンダーなサウンド

・Blue  

Redに比べ開放感と解像度に優れ、ワイドなレンジ感を得られる。クリアで硬質なサウンド

・Bronze  

レンジ感と解像度に優れるが硬質さはなく、シルキーできめ細かなサウンド

・Black  

シリーズ内のフラッグシップを現わすカラー。音源に対し高い忠実度をもち(Hi-Fi)、極めてクリアで高解像度なサウンド

そして下の動画は、オルトフォンのデンマーク本社が公開している2Mシリーズのコンセプトを示した動画です。各4色の特徴が簡潔に示されていますので、併せてお目通しください。


Ⅰ.2M Red

2M Redは、オルトフォンのHi-Fiカートリッジのエントリーモデルにあたります。このため、何よりも重視されているのはサウンドの「オルトフォンらしさ」。エネルギッシュでありながら落ち着いた音色は、昔ながらのヨーロピアン・サウンドにも通ずるものがあります。しかし、2Mシリーズには現代の極めて高解像度なレコードも不足なく再生するという重要な使命があります。

そのため、シリーズの入口にあたる2M Redであっても本体の基本構造を高性能な上級機とほぼ共通とし、スタイラスには接合式の楕円針を採用しています。

接合針と無垢針の模式図
2M Redの針先拡大写真と接合楕円針の拡大3D図
楕円針の模式図

そして2M RedおよびBlue本体内部のコイルには高品質な銅線を採用しています。これにより、この2機種はオルトフォンらしいナチュラルなサウンドとなっています。

2M Red/Blue本体の内部構造を示した3D図

また、2M Redと2M Blueのカートリッジ本体には互換性があります。このため、既に2M Redを使用している場合は2M Blueの交換針(スタイラス)、Stylus 2M Blueに挿し換えることで、簡単にアップグレードを行うことができます。

2M Redの交換針、Stylus 2M Red


Ⅱ.2M Blue

2M Blueは、側面の「2M」ロゴを除き上述の2M Redと本体部分が共通です。2M Redと2M Blueの相違点は、スタイラスチップがRedの接合式楕円針から無垢楕円針にアップグレードされていることが挙げられます。このため、2M BlueはRedに比べレンジ感とクリアさに優れ、周波数特性も向上してよりフラットな音色となっています。

2M Blueの針先拡大写真と無垢楕円針の拡大3D図
楕円針の模式図

また、先に述べたとおり2M Redと2M Blueのカートリッジ本体には互換性があります。このため、2M Blueの本体に交換針であるStylus 2M Redを挿すことで、簡単に音色の変化を楽しむことができます。



2M Blueの交換針、Stylus 2M Blue



Ⅲ.2M Bronze

2M Bronzeは、先述の2機種を更に高性能化させるべくスタイラスチップに無垢のファインライン針(高性能な楕円針の一種)を採用しました。また、カートリッジ本体も上級ライン仕様となり、マグネットやコイルを含む磁気回路がアップグレードされています。ワイドレンジでありながらタッチの柔らかなサウンドは、Bronze独特のものです。

2M Bronzeの針先拡大写真と無垢ファインライン針の拡大3D図

そして、2M BronzeおよびBlack、Black LVB 250本体内部のコイルには高純度な銀メッキ銅線を採用しています。よってこの3機種は煌びやかでありながらニュートラルな、上位モデルに相応しい高品位なサウンドとなっています。

2M Bronze/Black/Black LVB 250本体の内部構造を示した3D図

また、2M Bronzeと2M Blackシリーズのカートリッジ本体には互換性があります。このため、既に2M Bronzeを使用している場合は2M Black/Black LVB 250の交換針(スタイラス)、Stylus 2M Black/Black LVB 250に挿し換えることで、簡単にアップグレードを行うことができます。

2M Bronzeの交換針、Stylus 2M Bronze



Ⅳ.2M Black

2M Blackは、2Mシリーズの頂点となるべく開発されました。高性能な無垢シバタ針の採用により、Bronzeを超えた高解像度・ワイドレンジを実現しています。また、BronzeおよびBlackはアルミカンチレバーを採用しているため、後述の最上位モデルLVB 250に比べるとやや音色が柔らかい傾向にあります。

2M Blackの針先拡大写真と無垢シバタ針の拡大3D図
シバタ針の模式図

また、先に述べたとおり2M Bronzeと2M Blackシリーズのカートリッジ本体には互換性があります。このため、既に2M BLackを使用している場合は2M Bronze/Black LVB 250の交換針(スタイラス)、Stylus 2M Bronze/Black LVB 250に挿し換えることで、簡単にアップグレードを行うことができます。

2M Blackの交換針、Stylus 2M Black



Ⅴ.2M Black LVB 250

2M Black LVB 250は、「楽聖」ベートーヴェン生誕250周年を記念して発表されたリミテッドモデルです。オルトフォンのMMカートリッジとしては初めて、これまでMC Cadenza Blackなどの上位機種にのみ使われていた無垢シバタ針+ボロンカンチレバーの組み合わせを採用しました。また、本機で初めて実用化されたMWCNT(Multi Wall Carbon Nano Tubes)配合の専用ダンパーがもたらす極めて明瞭かつクリアなサウンドは、MMカートリッジへの認識を一変させるでしょう。

シバタ針+ボロンカンチレバーの拡大写真
シバタ針の模式図

また、先に述べたとおり2M Bronzeと2M Blackシリーズのカートリッジ本体には互換性がありますこのため、既に2M BLack LVB 250を使用している場合は2M Bronze/Blackの交換針(スタイラス)、Stylus 2M Bronze/Blackに挿し換えることで、簡単に音色の変化を楽しむことができます。

LVB 250の交換針、Stylus 2M Black LVB 250




カートリッジについて Vol.22に続く

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