このページでは、「カートリッジについて」のVol.22をお送りします。
本ページは、レコード針(カートリッジ)についての専門的な内容となる、オルトフォンのMMカートリッジ「2M」シリーズについての説明を中心としています。基礎的な内容の解説ページもございますので、先に「カートリッジについて Vol.1 基礎編」および「カートリッジについて Vol.21 2M編Ⅰ」のお目通しをお勧めします。
上図はステレオ盤とモノラル盤の音溝の違いを模式的に表したものです。モノラル盤は横(左右)方向にのみ音声信号が刻まれているため、モノラル仕様のカートリッジで聴くことでステレオカートリッジとはまた異なった魅力を味わうことができます。オルトフォンの現行MMカートリッジ、2Mシリーズには5機種のステレオ仕様モデルに加え、2機種のモノラル仕様モデルがあります。まず最初に、この2機種のコンセプトを以下にご説明します。
・Mono(ホワイト)
モノラルLPもしくはEP(ドーナツ盤)レコード用に開発されたMMカートリッジ。ステレオ用の2Mシリーズをベースとしているが、モノラル仕様に再設計されている。Monoのスタイラスが装着された状態でのSPレコード再生は不可。
・78(グレー)
78回転のSPレコード専用に開発されたMMカートリッジ。ステレオ/モノラルを問わず、LPやEPレコードの再生は不可。
この2機種は、針先のスタイラスユニット(交換針)の違いのみで本体部分は共通です。そのため、2M Monoの針先部分(Stylus 2M Mono)をSP盤用のStylus 2M 78に挿し換えることで、事実上ほぼ全てのモノラルレコードを楽しむことが可能となります。
2M Monoは、いまだ根強い人気を誇るモノラル録音のレコードを可能な限り簡便に、かつ高音質で再生することを目指して開発されました。あえてスタイラスチップに無垢ダイアモンドの丸針を使用することで、モノラル盤の魅力をより忠実にピックアップすることが可能です。
2M 78はオルトフォンのMM型カートリッジの中で唯一、SPレコードの再生専用に開発されたカートリッジです。蓄音機の時代から存在するSPレコードはLPよりもはるかに溝が太いため、一般的なLP用のカートリッジで再生することはできません。この2M 78はSPレコード専用となるスタイラスチップ(下図赤線部)を備えているため、極めて高音質なSPレコード再生を行うことができます。また、ダイアモンド針のため耐久性も高く、蓄音機の鉄針のように頻繁な交換は必要ありません。