ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2021.11.01
アナログ講座・基礎編

レコード針の針先クリーニングについて

本ページでは、レコード針(カートリッジ)針先クリーニング方法についてご紹介いたします。

最初に針先のしくみを述べた後に、弊社公式YouTube動画も交えて具体的な針先のクリーニング方法をお伝えいたします。

レコード針(カートリッジ)針先のしくみ

上図のように、レコード針(カートリッジ)の先端部分にはアルミなどの素材でつくられたカンチレバーがあり、更にその先端にはスタイラスチップがあります。カートリッジがレコード盤の上に降ろされると、盤の音溝にスタイラスチップの先端部分が当たって(接触して)音楽信号をピックアップするしくみになっており、およそ下図の通りにスタイラスチップ先端が音溝に入り込んでいる格好となります。


針先のゴミがレコード再生に与える影響

レコードの盤面には、再生中や保管時に様々なゴミホコリが付着する場合があります。こういう状態のレコードをカートリッジが再生した際、スタイラスチップの先端(いわゆる針先)がこれらのゴミごとトレースし、ここに付着してしまいます。また、スタイラスチップ先端にゴミやホコリが付着したままレコードを再生すると、これらをレコード盤の音溝に擦り付けて傷めてしまう恐れもあります。

そのため、針先にゴミが付着したままレコードを再生することはカートリッジとレコード盤双方にとって多大な悪影響がありますので、下の弊社やデンマーク本社(英語・字幕あり)公式YouTube動画をご参照の上、針先部分のクリーニングを小まめに行うようにしましょう。

針先クリーニング時の注意点

針先のクリーニングを行う際には、いくつかの注意点があります。オルトフォンのカートリッジをご使用の場合は下記の注意点にご留意の上、必ずこれを守ってクリーニングを行ってください。下記内容に沿わない内容でお手入れを行った場合、カートリッジの針先が破損したり、製品保証の対象外となることがあります。

Ⅰ.湿式のスタイラス(針先)クリーナーを使用しない

オルトフォンのカートリッジに対しましては、針先のクリーニング時に液体を用いた湿式スタイラス(針先)クリーナーは使用しないでください。湿式クリーナーの使用は、カンチレバーの破損や腐食、スタイラスチップの脱落や損傷を招く恐れがあります。また、カートリッジに湿式クリーナーを塗布しすぎるとクリーナーに含まれた水分がカートリッジ内部に侵入したまま残り、内部のパーツを傷める恐れもあります。
このため、オルトフォンのカートリッジ針先をクリーニングする際は、必ず製品付属もしくは市販の乾式(液体の付いていない)ブラシを用いるようにしてください。

Ⅱ.スタイラスチップのみにブラシを当てる

カートリッジの針先をクリーニングする際は、上述の弊社公式YouTube動画でも説明しましたように可能な限りカンチレバーにブラシの毛先を当てず、スタイラスチップのみにブラシの毛を当てるよう意識しましょう。針先に付着するゴミやホコリの多くはスタイラスチップ部分に付着します。

Ⅲ.ブラシをかける方向は一定にする

カートリッジの針先にブラシをかける際は、必ず上図のように手前方向に引くようにしてください。これはカートリッジがレコード盤をトレースする際の進行方向と同じため、この方向にブラシをかけることがカートリッジの構造上、最も安全です。

逆にカートリッジ前面から奥に向けてブラシを押し込んだり、前後に往復させるとカンチレバーを折損させる恐れがあり非常に危険です。

Ⅳ.クリーニング時はアームからヘッドシェルを外す

カートリッジの針先は非常に小さい部品でできているため、トーンアームに取り付けたまま針先のクリーニングを行うと視認が難しく、意図しない位置にブラシを当てるなどしてカンチレバーを破損する恐れがあります。このため、針先クリーニングの際は可能な限りトーンアームからヘッドシェルを外し、針先位置を十分に視認できる環境で行うようにしましょう。

アームの構造上、シェルの脱着が難しい場合は充分にご注意の上でクリーニングを行ってください。

また、下の動画は本邦におけるアナログ研究の第一人者である海老沢 徹 先生が、スタイラスチップのクリーニング時の注意点について解説しているものです。上述の内容についても詳しく述べられておりますので、あわせてご参照ください。


カートリッジについて Vol.9に続く

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