ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2024.06.17
アナログ講座・基礎編

現行Concordeのフィンガー(指かけ)脱着について

本ページではレコード針(カートリッジ)のうち、新型Concordeのフィンガー(指かけ)についての解説を行います。

最初に同シリーズにおける変更点を述べた後に、この『アナログオーディオ大全』の他ページや弊社公式Youtubeチャンネルも交えて具体的な内容をお伝えします。基礎的な内容の解説ページもございますので、先に「カートリッジについて Vol.1 基礎編」のお目通しをお勧めします。

Ⅰ.Concordeシリーズについて

Ortofon Concorde30(Hi-Fi用、生産完了)

オルトフォンのConcordeシリーズは、1979年にローマス・ハイコンプライアンスを追い求める過程で誕生しました。流麗かつ斬新なシルエットにより当時のオーディオファンの耳目を集め、同年のデンマーク工業デザイン賞を受賞しています。その後トレース能力の高さ、またテーパー(先細り)状のハウジング形状に起因する先端部分の視認性の良好さなどからDJ用途のモデルも誕生し、高性能なDJカートリッジとしてターンテーブリスト達のステータスシンボルにもなりました。

Ortofon Concorde/OM Scratch(生産完了)

オルトフォンのDJ用カートリッジには、ユニバーサル型トーンアームに対応したConcordeシリーズだけでなく、Concordeとほぼ同時期にHi-Fi用として誕生していたOMシリーズも存在します。このシリーズはアームパイプとヘッドシェルが一体型のトーンアームなどへの対応を考慮して開発されており、ハウジング形状やカートリッジ自重などを除くと同一モデルのConcordeシリーズと仕様が共通化されており、交換針(スタイラス)も同一でした(例:上に挙げた写真のConcorde/OM Scratchの交換針は、共にStylus Scratch)。

第2世代型のDJ用モデル、Concorde MkⅡシリーズ

そして2018年のオルトフォン創立100周年を機として、DJモデルのConcordeシリーズは第2世代型であるMkⅡシリーズにモデルチェンジされ5機種が発表されました。さらに2022年には、DJモデル群のフラッグシップとしてConcorde MkⅡ Eliteが登場し、ラインナップが更に拡充されています。

DJ用モデルのフラッグシップ、Concorde MkⅡ Elite

また2024年には、Concordeにとって原点回帰となる音楽再生用のHi-Fi仕様モデル、Concorde Musicシリーズが発表されました。MM型カートリッジの2Mシリーズをベースとしつつ、本シリーズ専用に新規開発された磁気回路ダンパーの使用により、2Mを更にアップグレードしたかのようなサウンドを実現しました。

Hi-Fi用モデルとして復活したOrtofon Concorde Musicシリーズ(上の写真はBlue)


Ⅱ.脱着可能となったフィンガー(指かけ)

第2世代型Concorde、Ortofon Concorde MkⅡ Club

先にも述べた通り、オルトフォンは2018年の創立100周年にあわせてConcordeシリーズをリニューアルさせました。現在発売されているDJ用モデルのMkⅡシリーズ、音楽再生用Hi-FiモデルのMusicシリーズは、リニューアル後の共通プラットフォームを採用した第2世代型モデルに該当します。

これらのモデルは、1979年に原型モデルが誕生した第1世代型では一体成型であったフィンガー(指かけ)部分を脱着式としました。一体成型にも軽量化などの利点はありますが、破損時の修理が不可能という弱点があります。これを改善するために第2世代モデルではここを脱着式とし、破損・紛失時の交換を容易としています。

Concorde Music Blueのフィンガーを取り外した様子
根元から先端に向けてテーパー状(先細り)となった新フィンガーを半分ほど抜いた様子

上の写真は、第2世代型モデルのConcorde Music Blueのフィンガーを外した様子を示したものです。フィンガーの根元部分には本体装着用のリングが一体成型されており、ここを本体に嵌め込むことで容易な固定を可能としています。またリング表面には滑り止めと制振を兼ねたラバー材(白色部分)が埋め込まれており、意図せぬ脱落を防いでいます。

Concorde MkⅡ/Musicシリーズ本体にフィンガーを嵌め込むためのスリット

また、フィンガーの装着先である本体基部はアルミ材を切削したもので、ヘッドシェルコネクターと一体化されています。シェルコネクターの外縁部に合わせて彫られている溝が、フィンガーを装着する部分となります。

DJ用のConcorde MkⅡシリーズと取り外したフィンガー各色

また、この第2世代型モデル用のフィンガーは単売パーツとして販売されており、弊社公式オンラインショップや弊社製品お取扱店様での部品購入が可能です。上の写真にある通り、カラーもブラックイエローオレンジレッドの4色展開となっており、フィンガーを交換することで純正品にはないカラーバリエーションをつくり出すことも可能です。

キーワード検索