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アナログオーディオ大全

2021.09.09
アナログ講座・基礎編

はじめてのレコード再生・操作編 Vol.2

このページでは、2部構成でお送りする「操作編」の2回目をお届けします。

本ページでは、レコード再生を行う際に必要となるレコ―ド盤の出し方、針の下ろし方についてご説明しています。レコードプレーヤーのセッティングや調整方法につきましては、「はじめてのレコード再生・操作編 Vol.1」をお目通しください。

④ レコード盤を出す

プレーヤーのセッティングと調整を終えたところで、今度はレコード盤を紙のジャケットから出してプレーヤーにセットしてみましょう。盤をジャケットから出す際に注意するべき点は、盤面に傷や指紋を付けないようにすることです。

盤面には音楽信号が刻まれた音溝が彫られており(上図をご参照ください)、この音溝に傷が付いたり盤面を汚してしまうと再生音にノイズが入ったり、最悪の場合は針が音溝から飛び出してしまったり、更には傷の入った場所で何度も同じ部分を再生する(世間一般で言う、「壊れたレコード」)状態にもなりかねません。これを防ぐため、レコード盤の持ち方の推奨例をご紹介します。

上の写真をご参照ください。レコード盤をジャケットから出して持つ場合は、片手の中指と薬指盤中心のレーベル面(円形のシールが張られた部分)を、親指で盤の縁を持つようにしましょう。こうすることで、ジャケットから盤を出し、プレーヤー前まで持ち歩く際も音溝に触れることなく取り扱うことが可能です。

プレーヤーに盤をセットするときは、下の写真のように盤の縁を両手で挟み、盤の中心穴とプレーヤーの中心軸(センタースピンドル)の位置を意識しながら、盤中心の穴にセンタースピンドルを挿入してください。

レコード盤をジャケットに戻す際は、上述の内容を逆手順で行ってください。なお多くの場合、ジャケットの中にはビニールや紙製の内袋が付属しています。この内袋はレコード盤にゴミや細かい傷が付くことを防ぐために付けられていますので、盤を戻す際には必ず内袋に入れてからジャケットに戻すようにしましょう。


⑤ 針を下ろす

プレーヤーをセットして調整し、レコード盤を載せたところで、いよいよ盤面に針を下ろします。この針を下ろす操作ですが、時々「針を落とす」という言い方をすることもあります。表現としては正しいですが、実際に針を「落とす」と盤やカートリッジを傷める可能性もありますので、このページではソフトに針を「下ろす」方法をご説明します。

レコード盤面に針を下ろす際の操作方法は、大きく分けて3つの方法があります。それは「フルオート」「リフター」「マニュアル」で、後になるほど難易度が上がります。最初のうちは、フルオートかリフターを使用して事故を防ぐようにしましょう。それでは、下記に具体的な操作方法を述べていきます。

ⅰ.フルオートの場合


廉価なレコードプレーヤーを中心に、再生ボタンを押すと自動でアームが盤の縁に針を下ろし(業界用語で「頭出し」と呼ばれます)、再生が済むと今度は針を上げ、元あった位置までアームが戻るフルオート機能が搭載されている場合があります。

初めてレコード再生を行う場合は、全ての操作を機械任せにできるフルオート機能を使用することもご検討ください。ただ、プレーヤーを操作したり、カスタマイズしたりしていく楽しみを味わうことは出来ません。

また、レコード盤の再生時に音が歪むなどの症状が発生した場合、セッティングや調整でこれを克服していくだけの自由度がない製品も多いです。また、再生ボタンを押す前にアンプのボリュームを一旦最少とし、針が下りたことを確認してから再度ボリュームを上げるようにしましょう。

ⅱ.リフターについて


これはレコードプレーヤーに取り付けられたトーンアームのほとんどに付属している、アームリフターを用いる方法です。カートリッジの針を折ったり、盤面に傷を付けたりといった事故の多くは盤面に針を下ろす際に発生しています。これを防ぐためにも、フルオート機能のないプレイヤーで針を下ろす際はリフターを使用されることをお勧めします。

リフターを使用する際の手順としては、最初にリフターのレバーが上がっていることを確認し、アンプのボリュームを一旦最小にします。次にアームをアームレスト(アームの可動部を固定する留め具)から外して先端の針先をレコード盤の縁まで動かします。その際は、俗に「フィンガー」「指かけ」と呼ばれる部分に指をかけましょう。指のかけ方は、下の写真をご参照ください。

針先をレコード盤の縁まで動かしたら、リフターのレバーをゆっくりと下ろしましょう。徐々に針先が降りてゆき、盤面に対してソフトに針を下ろすことができます。盤面に針が下りたことを確認したらアンプのボリュームを上げてください。また、再生が終わったらリフターのレバーを上げ、アームを再びアームレストに戻して固定しましょう。

弊社としましては、針を下ろす際はこのリフターの使用を推奨しております。
ほぼ全てのプレーヤーで使用でき、また事故の可能性も減りますのでリフターの操作方法を覚えておくようにしましょう。

ⅲ.マニュアル操作について


フルオート機能やアームリフターを使用せずに、レコード盤面に針を下ろす方法です。最も難易度が高く、失敗した際には針の破損や盤面に傷を付ける場合があります。しかし、ピンポイントでレコード盤面に針を下ろすことができ、曲の頭出しも自在です。レコード盤は、下の写真のように音楽信号が刻まれた曲部分と、曲の間の無音部分をある程度目視で判別することができます。

この無音溝部分を狙って針を下ろすことができれば、2曲目以降の頭出しも行うことができます。しかし、マニュアル操作自体が難易度の高いテクニックのため、慣れないうちはアームリフターの併用をお勧めします。

マニュアル操作の手順としましては、まずリフターのレバーが降りていることを確認し、アンプのボリュームを最小とします。

次に、リフター使用時と同様にフィンガーに指をかけて針先をレコード盤の縁や頭出しを行いたい無音溝の部分まで動かし、針を下ろしたい場所に下ろします。

最後に、アンプのボリュームを上げてください。
再生が終わったらフィンガーに指をかけ、アームを再びアームレストに戻して固定しましょう。この再生終了時の針上げのみ、リフターを併用する方法もあります。

以上、「はじめてのレコード再生・操作編」でした。次回からは、カートリッジの種類、構造などをお伝えする「カートリッジについて」をお送りします。どうぞお楽しみに。

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