ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2022.02.07
ヘッドシェル

レコード針のヘッドシェル取付方法について

本ページでは、レコード針(カートリッジ)のヘッドシェル取付方法についてご紹介します。

最初にカートリッジとヘッドシェルの概要を述べた後に、弊社公式YouTube動画も交えて具体的な取付方法をお伝えします。

ヘッドシェルとは

ヘッドシェルは、カートリッジをトーンアームに取り付けるために使用するアクセサリーです。上図のようにカートリッジをネジでヘッドシェルに取り付け、リードワイヤーを配線して互いを接続することで、アームに取り付けてレコード再生を行ったり、カートリッジをヘッドシェルに付けたままアームから脱着して交換を容易にすることができます。

一般的に、ヘッドシェルは上の写真のようなユニバーサル型コネクターを備えたトーンアームに取り付けることを想定しています。お手持ちのレコードプレーヤーのアームにこのようなコネクターが付いている場合は、ヘッドシェルを用意することで速やかなカートリッジ交換を行うことが可能です。

※オルトフォンのヘッドシェルは製品お取扱いの販売店様の他、弊社公式オンラインショップでもご購入いただけます。

その一方、近年は上の写真のようなユニバーサル型コネクターのない、ヘッドシェルとアームパイプが一体となっているトーンアームやプレーヤーも多くみられます。そのような製品の場合、別途にヘッドシェルを用意する必要はありませんがカートリッジ取付の難易度はやや上がります。このタイプについても、本項最終部分で別途に説明します。

カートリッジをヘッドシェルに取り付ける作業の流れは、どのような機種でもおおむね共通ではあります。しかし機種によってピンの配線位置が異なるなどの注意事項があるため、まずは下図をご参照の上、同一メーカーのカートリッジでもピンのリードワイヤー配線位置(ピンアサイン)は共通ではないことをご理解下さい。なお、下図はオルトフォン製品のピンアサインを示していますが、他社製品ではこの内容に当てはまらないものもありますので必ず購入カートリッジの端子部分や取扱説明書を確認するようにしましょう。

それでは、オルトフォン製品のうち代表的なカートリッジを下記に5例挙げ、動画を交えてシェル取付方法を解説します。

OMシリーズをシェルに取り付ける場合

MMカートリッジであるOMシリーズは、ピンアサインは先述の2Mシリーズと共通です。そしてカートリッジ本体のネジ穴は貫通式となっていますので、同じく貫通穴仕様のシェルに取り付ける際にはネジの他にナットが必要となります。また、本シリーズは多くの場合、Technics SL-1200シリーズをはじめとしたDJ用途のプレーヤーでの使用が想定されますので、トーンアーム側で対応が可能な、比較的軽量なヘッドシェルに取り付けることを推奨します。

VNLをシェルに取り付ける場合

VNLもまた、OMシリーズ同様のMMカートリッジでピンアサインは先述の2Mシリーズと共通です。そしてカートリッジ本体のネジ穴は貫通式となっていますので、同じく貫通穴仕様のシェルに取り付ける際にはネジの他にナットが必要となります。また、本シリーズは多くの場合、Technics SL-1200シリーズをはじめとしたDJ用途のプレーヤーでの使用が想定されますので、トーンアーム側で対応が可能な、比較的軽量なヘッドシェルに取り付けることを推奨します。

2Mシリーズをシェルに取り付ける場合

MMカートリッジである2Mシリーズは、OMシリーズやVNLとピンアサインが共通です。そしてカートリッジ本体のネジ穴は貫通式ではなくカートリッジ天面に直径「M2.5」のピッチ付きネジ穴が開けられています。このため、動画の中でも触れていますが本シリーズのヘッドシェル取り付けに際しては製品付属の「M2.5」径のネジを使用して下さい。日本で多く流通している「M2.6」のネジを使用した場合、ネジ穴の破損や穴内部でネジが折れるなどの事故が発生する場合があります。なおM2.5径のネジセットは、弊社公式オンラインショップからも入手することが可能です。

オルトフォン純正仕様のM2.5径カートリッジ取付ネジ

また、本シリーズは多くの場合、Technics SL-1200/1500シリーズをはじめとしたプレーヤーでの使用が想定されますので、トーンアーム側で対応が可能な、比較的軽量なヘッドシェルに取り付けることを推奨します。


MC Qシリーズをシェルに取り付ける場合

ここからは、カートリッジ本体のピンアサインが変わります。MC Qシリーズは、後述のMC CadenzaシリーズやSPUシリーズなどとピンアサインが共通です。そしてカートリッジ本体のネジ穴は貫通式ではなくカートリッジ天面に直径「M2.5」のピッチ付きネジ穴が開けられています。このため、動画の中でも触れていますが本シリーズのヘッドシェル取り付けに際しては製品付属の「M2.5」径のネジを使用して下さい。日本で多く流通している「M2.6」のネジを使用した場合、ネジ穴の破損や穴内部でネジが折れるなどの事故が発生する場合があります。なおM2.5径のネジセットは、弊社公式オンラインショップからも入手することが可能です。

また、MC Qシリーズを取り付けるヘッドシェルは、本シリーズに合わせて開発されたLH-4000を推奨します。なおその際、カートリッジ本体(9g)とLH-4000(14.3g、取付ネジ除く)を足した23.3gに対し、ご使用プレーヤーのトーンアームの対応自重(プレーヤーやトーンアームの取扱説明書に記載)がこれを上回り、更に2g程度の余裕があることを確認してください。

MC Cadenzaシリーズをシェルに取り付ける場合

MC Cadenzaシリーズは、先述のMC QシリーズやSPUシリーズなどとピンアサインが共通です。そしてカートリッジ本体のネジ穴は貫通式ではなくカートリッジ天面に直径「M2.5」のピッチ付きネジ穴が開けられています。このため、本シリーズのヘッドシェル取り付けに際しては製品付属の「M2.5」径のネジを使用して下さい。日本で多く流通している「M2.6」のネジを使用した場合、ネジ穴の破損や穴内部でネジが折れるなどの事故が発生する場合があります。なおM2.5径のネジセットは、弊社公式オンラインショップからも入手することが可能です。

また、MC Cadenzaシリーズを取り付けるヘッドシェルは、本シリーズに合わせて開発されたLH-6000を推奨します。なおその際、カートリッジ本体(10.7g)とLH-6000(14.5g、取付ネジ除く)を足した25.2gに対し、ご使用プレーヤーのトーンアームの対応自重(プレーヤーやトーンアームの取扱説明書に記載)がこれを上回り、更に2g程度の余裕があることを確認してください。

なお、MC QシリーズやMC Cadenzaシリーズ、その上級ランクのMCカートリッジは、上の写真のようにカートリッジ天面の突起によって3点支持式の接地ができるようになっています。これはカートリッジの微細な水平調整も行うことができるため、下の動画を参照の上、細かなセッティングを擁する際に応用して下さい。

カートリッジとヘッドシェル一体型の場合

ヘッドシェル一体型のMC型カートリッジ、Ortofon SPU Royal G MkⅡ
ヘッドシェル一体型のMM型カートリッジ、Ortofon Concorde MkⅡ Elite

SPUシリーズ(写真上)やConcordeシリーズ(写真下)のように、最初からカートリッジとヘッドシェルが一体型となっている製品はユニバーサル型コネクターに接続し、トーンアームを調整するだけで使用することが可能です。下の動画では、Technics SL-1200シリーズを用いたSPUシリーズのセッティング例とConcordeシリーズのセッティング方法を紹介しています。

Ⅰ.SPUシリーズのセッティング例


Ⅱ.Concordeシリーズのセッティング方法



シェルとパイプ一体型アームの場合

上の写真のように、トーンアームの中にはヘッドシェルとアームパイプが完全に一体型となっている製品もあります。この場合、手元でカートリッジとヘッドシェルの取付作業を行うことは難しく、既にプレーヤーに取り付けられたアームに直接取り付ける必要があります。カートリッジとアームは、共にたいへん精密で繊細な機器です。また、一体型アームのリードワイヤーは機種によって脱着・交換が不可能なものもあるため、ワイヤー端子の破損やワイヤーの切断がないよう、慎重な作業を必要とします。

下の動画(英語)は、オルトフォンのデンマーク本社が公開している一体型アームへのカートリッジ取付例を紹介するものです。これらの動画を参照の上、作業に際しては十分にご注意ください。

Ⅰ.2M Redをシェル一体型アームに取り付ける方法


Ⅱ.一体型アームに取り付けられたカートリッジを交換する方法


Ⅲ.MC Verismoをシェル一体型アームに取り付ける方法


「リードワイヤーの交換方法について」に続く




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