ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2022.02.14
アナログ講座・基礎編

リードワイヤーの交換方法について

本ページでは、レコード針(カートリッジ)のリードワイヤー交換方法についてご紹介します。

最初にリードワイヤーの概要を述べた後に、弊社公式YouTube動画も交えて具体的な取付方法をお伝えします。

リードワイヤーとは

前回はカートリッジをヘッドシェルに取り付ける方法について述べましたが、本項ではその中のリードワイヤーについて特にクローズアップした解説を行います。

リードワイヤーとは、カートリッジとヘッドシェルの間を結んでいる細く短い電線のことです。基本的に4本1組で使用され、多くの場合ワイヤーそのものや端子部分に上図のような下記4色のカラーコードが振られています。

赤:R(右)チャンネルのプラス側

緑:R(右)チャンネルのマイナス側

白:L(左)チャンネルのプラス側

青:L(左)チャンネルのマイナス側

一般的に販売されているヘッドシェルは、基本的に上図に書かれた端子位置に沿ったカラーのリードワイヤーが配線されており、ユニバーサル型コネクターを備えたトーンアーム(下図)も概ねこの図に準じた配線となっています(一部例外となるメーカーを除く)。

リードワイヤーはカートリッジとヘッドシェルの間を結んでいるため、レコード再生を行うアナログシステムの中ではカートリッジのコイル巻線に次ぐ最上流の位置にあります。よって、リードワイヤーを上位グレード、もしくはお好みの製品に変更することでアナログシステム全体のサウンドを変化させることができます。細く短いワイヤーではありますが、意外と侮れない部分でもあるのです。

※オルトフォンのリードワイヤーは製品お取扱いの販売店様の他、弊社公式オンラインショップでもご購入いただけます。

リードワイヤー交換を行う前に

前回の「レコード針のヘッドシェル取付方法について」でも述べた通り、カートリッジ本体後部にあるリードワイヤー端子は、上図のように同一メーカーの製品でもリードワイヤーピンの配線位置(ピンアサイン)が異なります。また、下図はオルトフォン製品のピンアサインを示していますが、他社製品ではこの位置に当てはまらないものもありますので、必ず購入カートリッジの端子部分や取扱説明書を確認するようにしましょう。

また、上図のうちSPU Royal Nを除いた、Gシェルに取り付けられた状態のSPUシリーズ(上の写真左)や2M PnPシリーズ(上の写真右、生産完了品)は、シェル一体型製品として販売されておりリードワイヤーの交換を前提としていません。リードワイヤー交換を行うと、内部ユニットの破損を生じたりワイヤーの再装着が困難となる場合があります。また、その場合は製品保証の対象外となりますのでご注意ください。

リードワイヤーの交換手順

ヘッドシェルに取り付けられたリードワイヤーを交換する際には、認識しておいた方がよい注意点がいくつかあります。最初に、その注意点を本文中に列記します。

・リードワイヤー交換時の注意点

Ⅰ:リードワイヤー交換時は、先曲がり型ピンセットなどでワイヤー端子の根元部分を摘まむようにする。端子先端部分や導体部分を摘まむと破損の恐れがあるため、触れない。

Ⅱ:リードワイヤーをシェルやカートリッジの端子に取り付ける際は一気に押し込むのではなく、一旦先端部のみ挿してから奥まで挿し込むようにする。

Ⅲ:ヘッドシェルとカートリッジのピン配列通りにリードワイヤーを接続する。

Ⅳ:シェルコネクター根元→針先間の適正な長さを確認し、傾きの無いように固定する(プレーヤー、アームによって異なります)。


この上記4点を認識したうえで、下の弊社公式YouTube動画でリードワイヤーの交換手順を確認してください。


リードワイヤー端子の微調整について

ヘッドシェルやカートリッジのリードワイヤー接続端子の直径は、各社・各製品おおむね近似の太さになっていますが共通規格が存在せず、同一メーカー製品であっても一般的なもの(例:MC Verismo、上の写真右)に対して若干細いもの(例:SPU Royal N、上の写真左)、もしくはこれよりも太いもの(一部の他社製品)もあります。これはヘッドシェル側も同様です。

このため、ヘッドシェルやカートリッジの端子にリードワイヤー側の端子が入らなかったり(この場合、無理に押し込むとリードワイヤー破損の原因となる)、逆にヘッドシェルやカートリッジの端子が細いためにリードワイヤーを接続しても抜けてしまったり、緩いために固定が甘くなる(この場合は、再生音が途切れたり音が出なくなる)場合があります。

上記のトラブルを避けるため、ヘッドシェルやカートリッジの端子とリードワイヤー側端子の直径が合っていない場合はリードワイヤー側の端子を広げたり閉じたりして、適正な固定ができるように微調整を行う必要があります。微細な感覚を求められる作業が続くため、本作業は必ず下の弊社公式YouTube動画を確認してから行ってください。また、ご自身での作業を行うことが難しいと判断された場合は、カートリッジやヘッドシェル、リードワイヤーを購入した販売店様などに相談して(可能であれば)作業を依頼することも検討して下さい。


また、オルトフォンでは単売リードワイヤーの導体(音声信号を流す金属の電線部分)や端子部分に高品質な素材を用いるなどしてレコード再生を更に充実させるための製品を開発しています。

下記リンク先の別ページにご紹介している弊社製品が、皆様の豊かなレコードライフの一助としてお役に立てることを願ってやみません。

・「リードワイヤーについて Vol.1 導体素材編」

・「リードワイヤーについて Vol.2 接続端子編」

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