ortofon JAPAN CO,LTD.

MC Verismo

オルトフォンが示す究極のリアル、その名はVerismo(ヴェリズモ)

オルトフォンの理念とサウンドポリシーは「正統な音」の具現化です。これを社名とする我々はこの理念に向けて様々な技術や理論を駆使したアプローチを行い、新たな製品として結実させています。無垢単結晶のダイアモンド・カンチレバーという夢の素材を得て、オルトフォンはThe MC CenturyとMC Anna Diamondという珠玉の果実を世に示すことができました。しかし、理念の探求に終わりはありません。新たなる「正統な音」としてオルトフォンが新たに誕生させたのは、『Verismo』の名を冠する金剛石の結晶です。

●出力電圧(1kHz, 5cm/sec.):0.2mV ●チャンネルバランス(1kHz):0.5dB ●チャンネルセパレーション(1kHz):25dB ●チャンネルセパレーション(15kHz):20dB ●周波数特性(20Hz-20,000Hz):+2/-1dB ●トラッキングアビリティー(315Hz、適正針圧下):80μm ●水平コンプライアンス:13μm/mN ●スタイラスタイプ:Special polished Nude Ortofon Replicant 100 ●スタイラスチップ半径:r/R 5/100μm ●カンチレバー素材:無垢単結晶ダイアモンド ●適正針圧:2.6g ●トラッキング角度:23° ●内部インピーダンス:7Ω ●推奨負荷インピーダンス:10Ω ●コイル線材:Aucurum ●カートリッジボディー素材:SLMチタニウム ●自重:9.5g
定価
¥800,000(税別)

Verismo(ヴェリズモ)という言葉は19世紀末から20世紀初頭にイタリアでみられたリアリズム的な文学運動と、それに触発されて誕生したイタリアオペラの潮流のことを指します。これはラテン語のVeritasを語源とし、イタリア語でも同様に「真実の」「本当の」を意味するVeroという単語を冠したもので、日本語では「真実主義」「現実主義」といった意味をもちます。オルトフォンはこのVerismoをテーマとして「正統な音」へのアプローチを行い、徹底的にHi-Fiな、究極のリアルをサウンドとして現しました。

Ⅰ.無垢単結晶ダイアモンド・カンチレバーの普及を目指して

オルトフォンはこれまで、サファイアやルビー、ボロンなどの宝石/半金属系素材によるカンチレバーを積極的に自社製品へと採用してきました。これはひとえに、この素材の特性が極めて理想的であり、高コストであってもなお採用したいと思わせる魅力があったためです。そして宝石系素材の頂点である無垢単結晶ダイアモンド・カンチレバーの誕生が、我々の理想を更なる高みへと押し上げたことは言うまでもありません。このダイアモンド・カンチレバーは創立100周年記念モデルのThe MC Century、その血を継いだMC Anna Diamondへと受け継がれましたが、いずれもフラッグシップモデルに限った採用に留まっていました。しかしオルトフォンは、誰よりもダイアモンド・カンチレバーの素晴らしさを知る者として、この珠玉のサウンドをより多くの皆様に知らしめたいという壮大な野心を抱くに至りました。素材内部での音の伝達速度がボロンやベリリウムを超えて最も速く、その結果トランジェント特性に優れ(音の立ち上がり・立ち下がりが速い)、またピックアップした音声信号の微細なニュアンスまでも極めて忠実に伝達する。ダイアモンドでなければ出せない音、辿りつけない境地という禁断の果実を味わってしまった以上、我々は後に戻ることは出来ません。究極のリアルを目指して開発された本機にコスト面の問題を無視してダイアモンド・カンチレバーが採用されたのは、Verismoという言葉に対するオルトフォンの熱意の表れです。

Ⅱ.オルトフォンが誇る磁気回路とFSE、アーマチュアやAucurumのコイル

MC Verismoの磁気回路(磁石を中心とした発電機構)は、オルトフォン創立80周年記念として発表されたMC Jubileeに端を発する新世代型を使用。この磁気回路はSPUで開発された最初の「オルトフォン・タイプ」と出力電圧は同等、もしくはそれ以上のパワーを出せますが、サイズは4分の1程度まで小型化されています。また、極めて高い磁力を誇るネオジウム・マグネットはこの磁気回路の要となっており、四角形のマグネット中心に丸い穴を開け、そのセンター部分にコイルやダンパーなどの振動系を配置。カンチレバーを通し、上下左右に動かすための穴を除いて完全に密閉された磁気回路は外部からの異物混入に対しても強く、内部への鉄粉などの吸着を防ぎます。また、磁気回路のマグネット中心に開けられた穴にはFSE(Field Stabilizing Element、フィールド・スタビライジング・エレメント)という導電性の小型シリンダーが取り付けられています。スタイラスが音溝をトレースすることでアーマチュアが動作して発電(音声信号が発生)した際、このFSEは音声信号が発生した際の磁力のはたらきを一定とし、左右チャンネル間のセパレーションの向上(反対側のチャンネルへの信号漏れが少ない)とチャンネルバランス差の縮小(左右チャンネルの音量レベルがより均等になる)を可能としています。そして発電コイルの巻枠であるアーマチュアには一般的な鉄よりも磁力を帯びにくい特殊な合金を採用。超小型の磁気回路でも高い出力を保ち、かつ強力なマグネットから動作上の干渉を受けにくくするための立役者となっています。また、コイル巻線にはオーキュラム(Aucurum)という高品質な線材を採用。これは6N高純度銅線に金メッキを施したもので、サウンドの明瞭さ、解像度や空間表現力の高さからVerismoの線材として白羽の矢が立ちました。

Ⅲ.さらに洗練されたWRD、MWCNT配合の新たなるダンパー素材

ダイアモンド・カンチレバーやアーマチュアの動作を支えるゴムのダンパー部分には、オルトフォンの誇る特許技術WRD(Wide Range Damping、ワイド・レンジ・ダンピング)システムが採用されています。これはダンパーゴムを高音域用と低音域用に分割して2枚とし、その間に重質量な貴金属であるプラチナのディスクを挟んだものです。これが開発された理由は、低音と高音では発生する振動が異なるため、それぞれに合わせたダンパーを用いた方がより完璧なダンピングを行えることが理解されたためです。このため、WRDシステムに用いられるダンパーゴムは高音域用と低音域用で硬さが異なります。そして各ダンパーの作用に互いが干渉することが無いよう、重質量のプラチナディスクを挟んでセパレート。また、このプラチナディスクはスタビライザーとしての役割も果たしています。これにより、ダンパーの存在意義である「支持」と「制動」を完璧とすることで不要な共振を排除し、振動系を理想的な形で動作させています。また、ダイアモンド・カンチレバーを使用するカートリッジには硬さや素材をカスタマイズし、調合された専用のダンパーゴムが不可欠です。Verismoの設計に際しても、サウンドイメージも含めて十分に考慮された専用ダンパーが開発されました。
そしてVerismoのダンパーには、開発されたばかりのMWCNT(Multi Wall Carbon Nano Tubes、マルチ・ウォール・カーボン・ナノチューブ)が配合された新型のゴム素材が採用されました。MWCNTはナノメートル単位の非常に微小な炭素微粒子(カーボンナノフィラー)であり、ダンパーゴムに配合することでカンチレバーを含む振動系のトレース性能やダンピング性能、サウンド面においてはレンジ感や解像度が飛躍的に向上しました。ダンパーゴムは一見地味な存在ですが、カートリッジの性能や音色に大きく寄与する極めて重要なパーツです。オルトフォンのデンマーク本社は、全ての自社カートリッジのダンパーゴムを配合段階から100%内製することで部品の精度・硬さを厳格にコントロールし、また機種ごとにダンパーをカスタマイズして理想通りの音色をつくり上げています。

Ⅳ.新規デザインの完全一体型、SLM成形によるチタンハウジング

MC Verismoのハウジングは、本機に合わせて新規開発されました。北欧デザインの極めてシンプルな「用の美」を体現するかのようなフォルムは、オルトフォンがこれまで蓄積してきた叡智と最先端の機械工学の結晶でもあります。この美しいチタン製のハウジングは、オルトフォンが誇るSLM(Selective Laser Melting、セレクティブ・レーザー・メルティング)を駆使して一体成型されています。この製法は高度にソフトウェア制御された加工マシンで金属粉末をレーザーで溶融、三次元的に部品を成形していくもので、最新テクノロジーの粋である3Dプリント技術の一種です。このSLMもまた現代のオルトフォン・カートリッジの要で、切削加工の難しいチタンから高精度かつ曲線を多用したデザインのハウジングをつくるためには、この技術が不可欠です。そしてVerismoのハウジング天面にはヘッドシェル取付用のM2.5径のネジ穴と3点のコンタクト・ポイントがあります。これもSLMによって完全に一体成型されており、不要共振の徹底的な排除を目指しています。また3点のコンタクト・ポイントは共振の排除だけでなく、2本のネジの締め具合を調整することでカートリッジのアジマス(正面から見た際の左右方向の傾き)微調整にも用いることが可能です。


MC Verismoは、空芯タイプとはまた異なる超小型の磁気回路とダイアモンド・カンチレバー、MWCNT配合の新型ダンパーでこれまでのMCを超える圧倒的な解像度と空間表現力を得ました。この禁断の果実は、リアリズムの極限の味を知らしめることになるでしょう。

※写真や図版の色彩は、画面上の表示の関係で実際とは若干異なる場合がございます。また、規格・仕様・デザイン・価格の一部を予告なく変更することがありますのでご了承ください。