ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2022.09.26
ケーブル

フォノケーブルについて

本ページでは、レコード針(カートリッジ)再生時に使用するフォノケーブルについての概要をご紹介します。

フォノケーブルの接続先となる、PHONO入力についての基礎的な内容の解説ページもございますので先に「PHONO(フォノ)入力の役割と使用方法について」のお目通しをお勧めします。


Ⅰ.フォノケーブルとは

シールド用のアース線が付属した、Ortofon 6NX-TSW1010 フォノケーブル

フォノケーブルは、主にレコード再生時の音声信号伝送を目的としたケーブルです。一般的な構造は同軸タイプの音声信号ケーブル(ラインケーブルもしくはインターコネクトケーブルとも呼称)と大差はありませんが、信号回路のシールドを目的としたアース線(上の写真)が付属しているのが主な特徴です。

Ortofon 6NX-TSW1010に使用しているフォノ5pin端子

また、フォノケーブルの交換が可能なトーンアームを想定して「フォノ5pin」と通称される端子を使用している製品が多く、この端子が使用されている製品は基本的にフォノケーブルであると考えて差し支えありません。また、このフォノ5pin端子を指して「DIN 5pin端子」と称されることもありますが、現在販売されているフォノケーブルに使用されている端子の多くはドイツ規格協会の制定するDIN規格に厳密な準拠をしていないものが多く、事実上トーンアームやフォノケーブル専用の端子となっているため、本項ではフォノ5pin端子という呼称を使用します。

そしてフォノケーブルは、ケーブルに取り付けられている端子によってある程度の用途が想定されています。その用途をオルトフォンのフォノケーブルを例として4種類に区分けし、下記に紹介してゆきます。

※オルトフォンのフォノケーブルは製品お取扱いの販売店様の他、弊社公式オンラインショップでもご購入いただけます。


ⅰ.フォノ5pin→RCA端子の6NX-TSW1010

フォノ5ピン→RCA端子を備えたOrtofon 6NX-TSW1010

6NX-TSW1010は、トーンアーム→アンプのPHONO入力もしくはMC昇圧トランスの入力(1次)側などの信号伝送を行う場合、最もスタンダードな仕様として挙げられるタイプのフォノケーブルです。一般的な単売トーンアームの多くはフォノ5pin端子を装備しているため、アーム付属品のフォノケーブルをアップグレードする場合経年に伴う交換を行う際にも最適です。

ⅱ.両端ともにRCA端子の6NX-TSW1010R

両端ともにRCA端子を備えたOrtofon 6NX-TSW1010R

6NX-TSW1010Rは、本体にRCA端子を備えたトーンアーム(例:SME 3009/3010/3012R、M2シリーズなど)レコードプレーヤー本体にRCA出力を備えた製品(例:現行のTechnics SLシリーズ、DENON DP-500M/1300MkⅡなど)またはMC昇圧トランスのRCA出力アンプのPHONO入力などの用途や、そして一般的なインターコネクトケーブルとしても使用可能なモデルです。


ⅲ.L型フォノ5pin→RCA端子の6NX-TSW1010L

L型フォノ5ピン→RCA端子を備えたOrtofon 6NX-TSW1010L

6NX-TSW1010Lは、L字型のフォノ5pin端子を装備したモデルです。これはキャビネットなどが薄型のレコードプレーヤーを想定したもので、ノーマルモデルの6NX-TSW1010では端子の長さの都合上フォノケーブルの取付ができない場合などに使用して下さい。

ⅳ.フォノ5pin→バランスXLR端子の6NX-TSW1010B

フォノ5ピン→バランスXLR端子を備えたOrtofon 6NX-TSW1010B

6NX-TSW1010Bは、フォノ5pin→ケーブル部分をバランス伝送に対応させてXLR端子を装備したモデルです。2番Hot・3番Cold・1番GNDとなっており、XLR端子の1番にケーブルのシールドを経由したGNDが落ちているため、アース線はなく接続の必要もありません。

バランスXLR入力端子を備えた、Ortofon ST-90 MC昇圧トランス

6NX-TSW1010BはMC型カートリッジ使用時に、上の写真で示したST-90 MC昇圧トランスや下の写真のEQA-2000 フォノイコライザーアンプのようなXLR端子のバランス入力が装備されている機器を接続する際に使用するものです。クリアでS/N感に優れたサウンドは、バランス伝送時に特有のものです。

バランスXLR入力端子を備えた、Ortofon EQA-2000 フォノイコライザーアンプ



Ⅱ.ダブルシールド構造のTSWシリーズ

ダブルシールド構造を備えたOrtofon 6NX-TSWシリーズ
Ortofon 6NX-TSWシリーズのケーブル断面図

上に挙げた2つの図はオルトフォンのフォノケーブル、TSWシリーズのシールド構造とケーブル断面の様子を示したものです。TSWとはTwin core Separate W(Double)の頭文字をとったもので、一般的には信号線のHot(上図⊕表記部分)の外周にシールドを兼ねたCold(上図⊖表記部分)の同軸であるものを、信号線のColdをシールドから分離させてHot・Coldのツインコア状態とし、その外周にGNDと結線させたインナーシールドをL・R両チャンネル分にセパレートして配置し、さらにその外周をもう一重のアウターシールドで覆ったものです。

これにより、HotとColdの信号線には純粋な音楽信号のみが流れ、その外周は両チャンネルにセパレートされたインナーシールドとアウターシールドというダブルシールドが強固にノイズから信号線を保護します。

レコード再生において、外部の影響で混入するノイズは天敵です。ダブルシールド構造をとることで外部ノイズに対しては極めて強い環境をつくることが可能となりますが、その上でなおフォノケーブルやMC昇圧トランスの至近には、動作中のアンプの電源トランスや通電時の電源ケーブルは近づけないようにご注意ください。

Ⅲ.フォノケーブルの長さは基本的に1.2m

現在市販されているフォノケーブルは、1.2m長の製品が大半を占めます。これは極端に短いと機器同士の間隔が取れなかったり、レコードプレーヤー→アンプ間の機器の取り回しを考えてのことでもありますが、これ以上の長さとした場合ケーブルがアンテナ代わりとなってノイズを拾いやすくなることがあります。そのため、オルトフォンのフォノケーブルは全て1.2mとなっており、特注によるケーブル延長は承っておりません。

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