本ページでは、オーディオ機器を動作させるためのケーブル(オーディオケーブル)について解説してゆきます。
レコード針(カートリッジ)やヘッドシェル、トーンアームなどのレコード再生用機器については、それぞれのリンク先をご参照ください。
また、レコード再生初心者の方は、最初に「はじめてのレコード再生・機材編」「はじめてのレコード再生・操作編 Vol.1」「はじめてのレコード再生・操作編 Vol.2」をお目通しされることをお勧めします。

オーディオケーブルは、音響機器(音楽再生用プレーヤー、ラジオ・ネットワークチューナー、アンプ、スピーカーなど)同士を接続して音楽や音声信号を再生するために用いる電線のことを指します。
このケーブルは、音楽再生に用いる機器一式(オーディオシステム)が、それぞれ単独の役目をもつ単品コンポーネント(単品コンポ)に分かれている場合は各機器を接続する際に必要となりますが、プレーヤー、チューナー、アンプ、スピーカーなどの各コンポーネントがオールインワンとなっている音響機器の場合や、Bluetoothなどの無線接続を行う際には使用することはありません(電源ケーブルを除く)。
また一般家庭で用いるコンポーネントだけでなく、放送用や屋外のライブ会場などで用いられるマイクやミキサーなど、業務用の音響機器で使用するケーブルも広義のオーディオケーブルといえます。これらは基本的に家庭用の音響機器とケーブル構造に大差はなく、接続用のコネクター(端子)も共通のものが多くあります。
ただ、両者の差異を大まかに述べるとすれば、以下のように分類されます(※例外もあります)。
①:一般家庭で使用する、音楽鑑賞用の単品コンポ向け製品
一般家庭で使用する単品コンポ向けのオーディオケーブルは、テレビやラジカセ、ミニコンポなどで用いる利便性とコストパフォーマンスを重視しているものから高性能なオーディオ機器での使用を前提とした太く重量のあるものまで千差万別です。利便性重視のものは、様々な環境下で接続できるよう端子・ケーブルともに軽く細く(端子は小さく)、曲げやすい柔らかさを重視します。
それに比べ、高性能なオーディオ機器用のケーブルは、ケーブルそのものに音色のキャラクターをもたせたり、高音質や高品位な外観を追求することが多いため端子とケーブルは大きく、太くなる傾向にあります(製造メーカーなどの志向や理論、用途次第では細くなる場合もあります)。さらに、高音質追及のために端子の接点だけでなく導体部分にも銀や金などの貴金属、高純度な銅などの高単価な金属を採用する例も多くあります。こういった高級ケーブルは、オーディオシステムの音づくりやチューニングに欠かせない重要なアクセサリーです。
②:放送・PA・音楽制作などに用いる音響機器向け製品
業務用の機器としてスタジオ、または場合によって屋外でも使用されるものが多いため、堅牢さや確実な接続、金属部分の腐食への対策がより強固に行われているものが多く、一般家庭向けのものよりも厳密な規格(形状、外観、太さ、曲げた際の柔らかさなど)が存在する製品もあります。一方でコストパフォーマンスも重視されるため、ケーブルの音声信号を通す金属部分(導体)に貴金属を大量に用いることは稀で、例としては接点部分に金・銀メッキが施される程度です(例外的に銀メッキ銅や純銀の導体を用いることもあります)。
オーディオメーカーによっては、堅牢さや精度、接続の確実さなどの点で定評を得ている業務用のケーブル端子を採用して自社製品のクオリティ向上に寄与させているところもあります。
オーディオケーブルを分類する方法はいくつかありますが、基本的にはケーブルの「用途」と「端子形状」で区分けすることが一般的です。
なお、端子形状が共通でも用途が異なるケーブルは別種の製品として扱われることがあるため、注意が必要です(例:共通形状のRCA端子を用いた、音声・映像・同軸デジタルなど。詳しくは次頁)。また、その逆として用途が共通でありながら端子形状が異なるものもあります。
ここからは、現在用いられている代表的なオーディオケーブルをその用途と端子形状で分類し、使用時の実態や注意点なども交えながら解説してゆきます。
※端子形状でケーブルを分類した場合については、次頁「基礎編Ⅱ」で解説します。
オーディオケーブルを用途で分類すると、概ね下記の7種類に分けられます(例外もあります)。なお、ここではケーブルを用途で分類していますが、端子形状に由来する呼称が一般化しているものについてはその名称を使用する場合もあります。
①:アナログ音声信号を伝送するためのケーブル

最も一般的なオーディオケーブルのひとつで、ディスク/ネットワークプレーヤーとアンプの間や、プリアンプとパワーアンプ、あるいはフォノイコライザーアンプ、ミキサーなどの間の信号伝送に用いられます。機器同士を相互接続するケーブルという意味で、「インターコネクトケーブル」と呼ばれたり、スピーカー駆動用に増幅される前の音声信号を伝送する「ラインケーブル」と呼ばれることもあります。呼称は異なりますが、この両者は基本的に同じものと認識して差し支えありません。
②:レコードプレーヤーの信号を伝送させるためのケーブル

レコードプレーヤーのトーンアームとアンプのPHONO(フォノ)入力との間で用いるケーブルは、信号線に加えてシールド用のアースを取るためのアース線を必要とします。そのため、多くの製品では左右の信号線の間にアース線が配置された独特の形状をしており、こういったケーブルを「フォノケーブル」と呼称しています。
なお、製品によっては信号線の外周にもシールドを設けるなどして、外部ノイズの影響をより一層受けにくくすることが可能なものもあります。
③:アナログ映像信号を伝送するためのケーブル
HDMI規格(後述)の普及前は、テレビやモニター、プロジェクターなどとビデオ、レーザーディスク、DVDプレーヤー、ゲーム機などの間はアナログ映像信号用のケーブルで伝送されていました。多くの場合は黄色のRCA端子(形状は音声伝送用のものと同一)を用いたコンポジット信号ケーブルが用いられていましたが、映像信号の伝送専用に用いられたS端子、D端子などが付けられたケーブルも存在していました。また、映像機器によっては専用の端子(特にゲーム機など)が用いられることもありました。
④:デジタル音声信号を伝送するためのケーブル

デジタル音声信号を伝送するためのケーブルは、TOSLINK端子などが用いられた「光デジタル音声信号(オプティカル、OPTなどとも表記)ケーブル」とRCA端子が用いられた「同軸デジタル音声信号(コアキシャル)ケーブル」を用いることが一般的です。これらは規格の名前からS/PDIF(Sony Philips Digital InterFace)と呼ばれることもあります。他には、スタジオや音楽制作用としてXLR端子を用いたAES/EBUケーブルもあります。
⑤:デジタル音声・映像を同時に伝送可能なケーブル
先に述べたアナログ映像信号ケーブルに取って代わり、デジタル信号で音声・映像・機器操作の制御を伝送可能としたのがHDMI規格のケーブルです。今日ではテレビやネットワークプレーヤー、モニター、PCなどの映像機器間の伝送はほぼ全てこのHDMIケーブルで行われています。長い間、純粋なオーディオ用途に用いるアンプやD/Aコンバーターなどではあまり用いられませんでしたが、近年の製品ではHDMIに対応しているものが増加してきています。
⑥:アンプとスピーカー間の信号を伝送するケーブル

プリメインアンプやパワーアンプで増幅され、スピーカーを動作させられるだけのパワーをもった音声信号をアンプからスピーカーに送るためのケーブルがスピーカーケーブルです。他のケーブルと異なり、ケーブル両端の端子を付けずに先端部分の導体を剥き出しにしてからスピーカー、アンプ側の端子に接続することが一般的です。しかしスタジオや放送局などを中心にスピーカーケーブル専用の端子が用いられていたり、高級な完成品のスピーカーケーブルでは両端にYラグ、バナナプラグなどの端子が取り付けられていることもあります。
⑦:電源ケーブル
電池駆動のものを除き、オーディオ/映像機器はコンセントに接続するための電源ケーブル(ACケーブル)を必要とします。このケーブルは機器に直付けとなっているものもありますが、近年の製品では電源ケーブルが脱着式となっているものもあります。電源ケーブルを脱着可能な機器に対しては、機器側の端子形状(3ピンのIECインレット、メガネ端子など)にあった電源ケーブルを交換することができます。また、USB端子から電源を給電する機器もあります。
※電源ケーブルに関する注意
スピーカーケーブルと電源ケーブルは形状や構造がよく似ているものがあり、インターネットやSNS上ではスピーカーケーブルを電源ケーブルに流用することについての是非も含めた記載が見受けられます。ただ、日本国内で製造もしくは輸入されて販売される電源ケーブルは全て電気用品安全法(電安法)で定められた基準に適合している義務があります。適合している製品は電源ケーブルとしての安全性を確保した専用の構造となっており、ケーブル表面や端子にはPSEマークが表示されています。PSEマークのないケーブルを電源ケーブルとして使用すると、(電源用途としては)絶縁の保護が十分でないためショートしたり、火災などの原因となる場合もあり大変危険です。電源ケーブル、もしくは電源タップなどを自作するなどの際は、必ずPSEマークが表示されたケーブルと端子を使用してください。
なお、ネットワークオーディオなどで音声データの転送や読み込みに用いるオーディオ用LANケーブルも広義のオーディオケーブルに含まれますが、ここでは割愛します。
ここまでは、オーディオケーブルを用途別に分類した際の解説を行ってきました。次頁「基礎編Ⅱ」では、端子形状別にケーブルを分類した際の解説を行います。