「レコード再生」という言葉から、皆さんはどのような状況を連想しますか?
大きなラッパのついた蓄音機が鳴っている姿、音楽好きの方がお部屋でレコードを楽しんでいる様子、あるいはクラブでDJがターンテーブルを回しているシーンでしょうか。これらはすべて、広い意味の「レコード再生」に当てはまります。
『アナログオーディオ大全』を始めるにあたり、このページではレコード再生を始める際に不可欠となる、最も基礎的な内容をご説明していきます。
ここ数年、アナログ全盛期にレコードをリリースしていた名門のレーベルが復刻盤でレコード盤を発売したり、レコード時代を知らない世代のアーティストが新譜のレコード盤を出したりするなど、レコードで音楽を聴くという行為は確実にひとつのカルチャーとして定着してきました。
こうした中で、レコードを買ったものの再生方法が分からない、レコード再生に必要なものは何か、というご相談もよく伺います。この『アナログオーディオ大全』をご覧頂くことで、少しでも多くの皆様がレコード再生の魅力を楽しんで頂けることを願ってやみません。
現在一般的に販売されているレコードを再生するには、レコード針とアナログのレコード盤、レコードプレーヤー、レコード用のアクセサリーが必要です。この4つがどのようなものか、以下に簡単にご説明いたします。
レコード針は、古くはピックアップ(英語で拾い上げる、の意)とも呼ばれたように、レコード盤に刻まれた音楽を拾い上げ、音声や電気信号に変換するための機器です。レコード針それ自体を指して、カートリッジとも呼びます。また、レコード盤の音溝をなぞる(トレースする)針先をスタイラスチップと呼びます。この部分には様々な素材が用いられますが、現代ではダイアモンド・サファイアなどの宝石素材が主に用いられており、上図のように針先の形状によっていくつかの種類があります。
またカートリッジには発電方式によっていくつかの種類があり、現在主流となっているのは「MM型」と「MC型」の2種類です。
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また、レコード針の中にはDJプレイに使用するためのDJカートリッジもあります。この製品は全てMM型となっています。
DJカートリッジは、DJが行うスクラッチなどに耐え、また下の動画のような様々な表現にも対応できるよう、堅牢かつ針飛びを起こしにくいように設計されています。
レコード盤には、盤の外側から内側に向かって1本の渦巻状の溝が刻まれています。これを音溝(グルーヴ)と呼び、この音溝の表面には音楽信号の振動が凹凸となって刻まれています。カートリッジの針先がこの凹凸上を通過すると、凹凸の通りに振動が発生して音声や電気信号に変換されます。
また、レコード盤の多くは素材に塩化ビニールを用いているため、海外を中心に「ヴァイナル」と呼ばれることもあります。
そしてレコード盤には、盤ごとに決められた回転数があります。再生時は、これを確認した上でレコードプレーヤーの回転数を盤の記載どおりに合わせる必要があります。
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レコードプレーヤーはレコード盤を再生するために使用する機器で、レコード盤を乗せる部分が回転するためターンテーブルとも呼ばれます。回転機構と音声ピックアップ用のトーンアーム、これらを取り付けたキャビネットから構成されていることが多く、中にはアンプやスピーカーを内蔵しているものもあります。
回転機構の部分では回転数の変更を行うことができ、多くは1分間に「33 1/3回転」(33と3分の1回転、と読みます)および「45回転」するようにつくられており、一部プレイヤーでは「78回転」にも対応しています。
レコード再生を行う際に最も重要なのは、レコード盤面のクリーニングです。レコードにとって盤面のホコリや汚れ、傷は天敵です。
音楽再生後の盤面やカートリッジの針先は、ブラシなどのアクセサリーを用いて小まめにクリーニングし、ホコリや汚れを取り除くようにしましょう。
また、他のアクセサリーにはレコード針をトーンアームに取り付けるためのヘッドシェルや、カートリッジとヘッドシェルの間をつなぐリードワイヤー、カートリッジを安全に収納するためのカートリッジケースなどがあります。
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以上、「はじめてのレコード再生・機材編」でした。次回は、今回ご紹介した機材の使用方法をお伝えする「はじめてのレコード再生・操作編」となります。どうぞお楽しみに。