ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2023.09.19
アクセサリー

デジタル針圧計の使用方法について

本ページではレコード針(カートリッジ)の針圧を計測するための、デジタル針圧計についてご紹介します。

最初に針圧計の概要を述べた後に、弊社公式YouTube動画も交えて具体的な使用・調整方法をお伝えします。

Ⅰ.針圧計とは

0.01g単位まで計測可能なデジタル針圧計、Ortofon DS-3

レコード再生に用いる針圧計は、レコードプレーヤーのトーンアーム先端に取り付けられたレコード針(カートリッジ)の針先を降ろした際に、どの程度の針圧(針先にかかる荷重)が実際にかけられているかを計測する器具です。

全てのカートリッジには、それぞれ適正な針圧の値が定められています。この適正針圧通りの針圧で使用することで、カートリッジは設計時に想定された性能を十全に発揮することが可能となります。また、カートリッジメーカーの設計者が各カートリッジのサウンドイメージを描く際は、基本的に適正針圧下を条件として行っています。そのため、カートリッジの使用に際しては適正針圧を守ることをお勧めします。

針圧計の使用により、使用機材の針圧を実測することはもちろん、トーンアームに施した針圧調整に間違いがないかを(結果的に)確認することも可能となります。ヘッドシェルカートリッジ取付ネジの重量計測にも併用可能なため、お手元に置くことを推奨したいアナログアクセサリーの筆頭格でもあります。

また、かつてはシーソー式の秤タイプの針圧計が主流でしたが、電子秤の小型化によってデジタル式の針圧計が普及してきました。オルトフォンでも0.01g単位まで計測可能なデジタル針圧計DS-3を発売し、簡便かつ高精度な針圧計測を可能としています。

オルトフォン公式オンラインショップのDS-3購入ページはこちら


Ⅱ.デジタル針圧計使用時の注意点

デジタル針圧計は、精密な計測器です。そのため、使用にあたっては下記に挙げる注意点を遵守した上で使用してください。

・注意点①

針圧計の接地面は、(ある程度の)硬さのある場所に置いて下さい。レコードプレーヤーのプラッター(レコード盤を載せる回転部分)に柔らかなゴムや皮革、フェルトなどのターンテーブルシートが装着されている場合はこれを外し、プラッター上に直に乗せてください。

・注意点②

デジタル針圧計の本体を計測時に傾けたり、振動を与えたりすると誤作動の原因となります。水平となっていて、振動のない場所で計測を行ってください。

・注意点③

フローティング型のレコードプレーヤーは、振動対策のためにバネで本体部分がフロートされた(浮いた)状態となっています。プラッターに針圧計を載せることでプレーヤーの水平が狂ったり、振動を与えるとしばらく揺れていることがあります。この場合は正確な計測を行うことは不可能なため、プラッター上を水平に保ち、揺れのない状態で測定を行ってください。

・注意点④

長期にわたって使用しない場合は、針圧計に入れた電池を抜き取っておくことをお勧めします。電池が液漏れを起こすなどした場合、針圧計本体を破損する恐れがあります。


Ⅲ.デジタル針圧計の使用方法

ここではオルトフォンのデジタル針圧計、DS-3の使用方法を例に解説を行います。その他の製品については、それぞれの取扱説明書を一読の上で参考に留めてください。

・手順①

トーンアームのゼロバランスと針圧の調整を行った後、デジタル針圧計を計測場所(基本的にはレコードプレーヤーのプラッター面)に置いて電源を入れます。上記Ⅱに示した注意点を遵守の上、「88888」と表示された起動画面が「0.00g」の表示に代わるのを待つ。

・手順②

針圧表示画面に「0.00g」が表示されたことを確認したら、針圧計の計側面にカートリッジの針先を載せ、針圧の計測を行います。針圧計測に際しては、必ず事前にトーンアームの針圧調整を行い、ある程度針圧が合っている状態で計測を行ってください。また、針圧計側面に針先を載せる際は下の弊社公式YouTube動画で示した位置に針先を置くようにしてください。

・手順③

針先を載せた際に適正針圧値が表示されたら(目安:適正針圧値ジャストに合わせようとする際は、適正針圧が1.8gの場合±0.5g=1.75~1.85g程度。カートリッジの針圧範囲が設定されている場合はその範囲内)、載せた針を上げて針圧計の電源をOFFとし、プラッター上から針圧計を降ろしてレコード再生を行います。合わせたい針圧値もしくはその範囲から逸脱している場合は、再度手順①から繰り返してください。


上記手順を更に詳細に紹介しているのが、下に挙げた弊社公式YouTube動画です。上記手順を一読の上、下の動画もあわせて確認されることをお勧めします。



Ⅳ.デジタル針圧計の表示値の正誤を確認する方法

デジタル針圧計の液晶画面に表示された値の正誤を確認する簡易な方法としては、アルミニウムの1円貨幣(1円玉)を用いるやり方があります。上記の「Ⅱ.デジタル針圧計使用時の注意点」を遵守した上で、正誤確認を行ってください。

1円貨幣は量目(目方、重さ)が1.00gとされており(財務省HPの表記より)、廉価な割に精密な分銅と考えることも可能です。また、非磁性体(磁石に反応しない)のアルミニウムを使用しているため、カートリッジの至近に置いた場合も不意の事故を起こす可能性がありません。

ここではオルトフォンのデジタル針圧計、DS-3を用いた際の手順を解説します。以下の手順を踏まえた上で行ってください。

・手順①

電源を入れ、「0.00g」の値が液晶画面に表示されたデジタル針圧計の計測部に、大きな傷や汚れ、破損のない1円貨幣を静かに載せる

・手順②

表示された値が「1.00g」もしくは±0.02g程度(0.98~1.02g程度)であれば正常動作の範中とする。計測範囲が0.1g単位の針圧計の場合は、「1.0g」の表示が出ることを確認する。

・手順③

針圧計の表示値が上記の値を逸脱する場合は、計測部から1円貨幣を取り除いた上で「TARE」ボタンを押し、ゼロバランスの調整を行う

・手順④

再度「0.00g」の値が表示される状態になったことを確認したら、1円貨幣を載せて上記②の範囲に収まっているかを確認する

・手順⑤

上記②の範囲に収まるようになったら、バランス調整は成功です。

※上記④を数回繰り返しても状況が改善しない場合は、故障の可能性も考えられますのでご購入された販売店様の修理窓口にご相談下さい。

キーワード検索