ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2023.09.12
リードワイヤー

リードワイヤーについて Vol.2 接続端子編

本ページでは、レコード針(カートリッジ)再生に用いるリードワイヤーの接続端子についての解説を行います。

リードワイヤーをカートリッジやヘッドシェルに取り付けたり交換する方法や、取付ネジについて解説したページもございますので、先に「リードワイヤーの交換方法について」「レコード針のヘッドシェル取付方法について」「カートリッジのヘッドシェル取付用ネジについて」「ヘッドシェルについて Vol.1 基礎編」のお目通しをお勧めします。


リードワイヤーの接続に際して

カートリッジやヘッドシェルの交換を行う際は、リードワイヤーの脱着作業が必要不可欠となります。作業方法については別ページ「リードワイヤーの交換方法について」で紹介していますが、本ページでは更に詳細な解説を行い、その補完とします。

また前ページ「リードワイヤーについて Vol.1 導体素材編」ではリードワイヤーの基幹となるケーブル導体についてご紹介しましたが、本ページではこれを接続する端子や、その表面に施すメッキについても述べてゆきます。微細な信号を流すリードワイヤーの音は、端子部分のメッキ素材でも変化します。

Ⅰ.カートリッジのリードワイヤー接続端子について

本項では、リードワイヤー端子の挿入先であるカートリッジ側のリードワイヤー端子について述べてゆきます。

カートリッジのリードワイヤー端子は、機種によって異なる

上図で挙げた通り、カートリッジ後端に備えられているリードワイヤー端子は製品のシリーズによって端子の配列(ピンアサイン)が異なります。これは同一メーカーの製品であっても例外ではなく、オルトフォンのカートリッジにもいくつかのパターンがあります。基礎的な内容については、「リードワイヤーの交換方法について」をお目通しください。

最も基本的な配列は、オルトフォンのMCシリーズにみられるような(カートリッジ正面から見て)赤と緑を右に、白と青を左側に配するものです。この方法であれば、リードワイヤーを交差させずに配線することが可能です。

オルトフォンの2M/OMシリーズのピンアサインは、MCシリーズとは異なっている

一方、オルトフォンの2MシリーズOMシリーズでは、本体内部に備えられた4本の発電コイルが対角線上に配置されている都合上、リードワイヤー接続端子は(カートリッジ正面から見て)赤と白が右、緑と青が左側となっており、リードワイヤー配線時は4本のワイヤーを交差させる必要があります。

このように、製品のシリーズによって端子位置が異なる理由はカートリッジの内部構造の違いに起因しています。オルトフォンの製品は同シリーズであれば端子配列は同じですが、他社製品では機種によって異なる場合もありますので、リード線取付時は当該カートリッジの端子部分や取扱説明書をよく読んで確認するようにしましよう。

現代のカートリッジは、リードワイヤー取付端子に金メッキが施されている


また現代のカートリッジでは、リードワイヤー取付端子の表面酸化による接触不良を避けるため、端子部分の表面に金やロジウムのメッキが施されているものが多数を占めます。かつては一部の上位機種にのみ行われているものでしたが、経年と共に頻発する接触不良を防ぐため、普及価格帯モデルにも金もしくはロジウムのメッキが施されるようになりました。



Ⅱ.リードワイヤーのカートリッジ接続端子について

次に、リードワイヤーの両端に備えられた接続端子について解説します。この端子は古くはハンダ付けで固定されていたものもありますが、音質への影響を鑑みて近年はケーブルに端子を圧着して(カシメて)固定するものが一般的です。また、端子の断面形状には丸型や三角形などいくつかのパターンがありますが、三角形タイプの方がカートリッジやヘッドシェルの端子への接触が強固となる傾向にあります。

リードワイヤーによっては、両端の端子径が異なる場合がある(例:Ortofon LW-6N)

カートリッジやヘッドシェルに使用されているリードワイヤー取付端子の直径を考慮し、オルトフォンの単売リードワイヤーは上の写真に示された端子径となっています。4色に色分けされたカートリッジ側の端子は直径1.2㎜の内径をもち、黒色のヘッドシェル側端子は1.0㎜の内径をもっています(他社製品については、この通りではない可能性があります)。

取り付けるカートリッジやヘッドシェルによっては、この端子の内径を微調整する必要があります。その際は、下に挙げた弊社公式YouTube動画をご参照の上、十分に注意しながら作業を行ってください。

リードワイヤー取付時は、端子を保持する位置に注意する

またカートリッジやヘッドシェルにリードワイヤーを取り付ける際は、リードワイヤーの保持位置に十分に注意しましょう。上の写真や別ページの「リードワイヤーの交換方法について」、または下の弊社公式YouTube動画を参考に、端子の根元部分をピンセットなどで掴むようにしてください。

Ⅲ.リードワイヤー接続端子のメッキ素材について

最後に、リードワイヤー端子のメッキに用いられる素材とそのサウンドの傾向を述べてゆきます。リードワイヤー導体の素材についての解説と音色の変化の傾向は前ページリードワイヤーについて Vol.1 導体素材編」で解説したとおりですが、その両端にある接続端子のメッキ素材でもサウンドは変化します。本項では、リードワイヤー端子に多く用いられるメッキ素材を3種類挙げ、それぞれの特徴と音の傾向について解説してゆきます。

・金メッキ

耐食性に優れ、表面の酸化が極めて少ないことから音響用途以外でも電気接点に多用されるメッキ素材です。現代では、製品のランクを問わず多くのリードワイヤーに用いられています。

サウンドの傾向はニュートラルで癖が無く、ロジウムと比べると柔らかい音色となる傾向にあります。

オルトフォンの単売リードワイヤーでは、LW-3CLW-6Nに使用されています。

・ロジウムメッキ

耐摩耗性、耐食性に優れておりメッキ自体の強度にも優れています。ロジウムは貴金属でもあり高価で外観も美しいため、一般的にはハイエンドなモデルの端子に使用されています。

サウンドの傾向は、金メッキに比べるとクリアで硬質な音色に感じられます。

オルトフォンの単売リードワイヤーでは、LW-7NLW-800Sに使用されています。


・銀メッキ

地球上に存在する素材の中で導電性が最も高い銀をメッキ素材としたもので、クリアで煌びやかな音色となる傾向にあります。

ただ、端子表面の酸化に注意する必要があります。そのため、オルトフォンでは現在使用しているモデルはありません。

キーワード検索