ortofon JAPAN CO,LTD.

アナログオーディオ大全

2022.03.07
基礎編

レコード針の音が出ない時の対処について

本ページでは、レコード針(カートリッジ)の音が出ない場合の対処方法についてご説明します。

カートリッジの使用時、実際に発生しうる症状を2つのパターンに分け、弊社公式YouTube動画も交えて具体的な対処方法をお伝えします。

Ⅰ.片チャンネルから音が出ない場合

多くのカートリッジは、上図のようなMM型とMC型に分類されます。構造上、どちらにも共通しているのは本体内部に細い電線を何回も巻いたコイルが入っているということです。このコイル巻線から伝達された音声信号は、ちょうど下図のようなイメージでカートリッジ本体からリードワイヤー、トーンアーム、フォノケーブルなどを介してアンプのPHONO入力に至り、そしてスピーカーから音楽となって再生されます。

カートリッジをレコード盤上に降ろして音楽を再生した際に「片チャンネルの音が出ない」という症状が発生した場合、かなりの高確率でこの経路の結線のどこかが外れているか、一時的な接触不良を起こして電気が通らない状態になっています。そして片チャンネルの音が正常に出ている場合、カンチレバースタイラスチップなどの振動系が破損(針を曲げたり、折ったり、スタイラスチップが外れていたりなど)している可能性は低いです。

このため、この症状が発生した場合にまず試すべきことはカートリッジ端子(下の写真、4本の金メッキされた部分)やヘッドシェルコネクター(後述)のクリーニングです。

このクリーニング作業に必要となるものは以下の2つです。

① 綿棒(一般的なもの、しかしなるべく頑丈な紙・木などの軸のもの)

② 無水エタノール(薬局で購入可能)

これらの使用方法を解説しているのが、下の弊社公式YouTube動画です。この動画では、カートリッジが取り付けられた、もしくは一体型のヘッドシェル後端にあるヘッドシェルコネクター部分のクリーニング方法を解説しています。

なお、このクリーニング作業にはなるべく軸の頑丈な綿棒無水エタノールの使用を推奨していますが、それには理由があります。

なるべく軸の頑丈な綿棒を使用することで、ヘッドシェルコネクターやアーム側のヘッドコネクターの実際に電気が通る部分(下図、4本の金色の端子部分)にピンポイント、かつ適切な力で綿棒の穂先を当てることができます。綿棒の軸が柔らかい場合、軽く力をかけただけで曲がってしまい効果的なクリーニングができなかったり、曲がった状態で無理に力を加えることで端子部分やカートリッジの破損を招く恐れがあります。

また、無水エタノールの使用を推奨している理由は高い洗浄力もその一つですが、最も重要な点はその揮発(蒸発)性にあります。無水エタノールはアルコールの濃度が99.5%程度と極めて高く、クリーニング作業で使用したあとすぐに揮発して機器側に水分や不純物を残しません(消毒用エタノールは瞬時の蒸発を防ぐ必要があるため、濃度は70~80%)。そして、機器に使用されている樹脂や金属をほぼ傷めずに済むため(塗装面などは傷める場合がありますのでご注意ください)、特に製造から年月を経過した製品の場合、市販の接点復活剤などに比べると使用リスクは低くなります。なお、無水エタノールは性質上火気厳禁の薬品です。使用時や保管に際しては製造メーカー様の記した使用方法や注意点をよくご理解の上、その内容に沿って使用して下さい。

また、上記内容はカートリッジやヘッドシェルの端子クリーニング方法について解説しています。スタイラスチップのクリーニングに無水エタノールを含むアルコールを使用すると破損の原因となりますので、絶対に使用しないでください。

また可能性は低いですが、片チャンネルの音が出ない理由としてリードワイヤーの配線を本来の位置と異なる端子に行っていたり、リードワイヤーが破損している可能性もあります。クリーニングを行っても症状が改善されない場合は、念のためリードワイヤーの配線位置を確認したり、リードワイヤーを交換するなどしてみて下さい(SPUシリーズを除く)。

Ⅱ.両チャンネルから音が出ない場合

レコード盤に針を下ろしても「両チャンネルから音が出ない」場合は、先に述べた「Ⅰ.片チャンネルから音が出ない場合」の内容をまず試してみて下さい。クリーニングを行っても症状が改善されない場合は、上の写真のようにカートリッジが音溝をなぞって(トレースして)徐々にレコード盤の内周側に向かっているかどうかを確認して下さい。適正針圧通りの針圧がかかっていて、アームリフターなどを用いてゆっくりと針を下ろしてもカートリッジがレコード盤の上を滑ってしまう場合は、カンチレバーが曲がっていたりスタイラスチップの脱落による破損などが考えられます。この場合は、MMカートリッジの場合はお客様ご自身による針先交換(オルトフォン製品の場合、機種ごとに下の動画を参照してください。)、MCカートリッジの場合は針交換(本体交換)となりますので販売店様にご相談下さい。

①2Mシリーズのスタイラス交換手順

上の動画はレコードリスニング(Hi-Fi)用途専用に開発された2Mシリーズの針先交換方法を解説しています。カートリッジがアームから脱着可能なヘッドシェルに装着されている場合はシェルをアームから一旦外して、またシェルとアームが一体型の場合はアームに負荷がかからないよう注意して、針先の交換作業を行ってください。

なお2Mシリーズは、「RedBlue」、もしくは「BronzeBlackBlack LVB250」、「Mono78」でそれぞれカートリッジ本体同士に互換性があります。仮に針先交換を行う場合は、この範囲内での交換針を選択することで機種のアップグレードも可能となっています。


②Concorde MkⅡシリーズのスタイラス交換手順

上の動画はDJ用途に開発されたConcorde MkⅡシリーズの針先交換方法を解説しています。針先交換の際は事故防止のためConcorde本体をアームから一旦外して、針先の交換作業を行ってください。また、弊社ではConcordeシリーズ本体と交換針となるスタイラスは共に純正同士の組み合わせで使用することを推奨しています。

特に、旧ConcordeシリーズとConcorde MkⅡシリーズのスタイラスに互換性はなく、装着は不可能ですのでご注意ください。


③OMシリーズのスタイラス交換手順

OMシリーズのカートリッジも、上記2種類のMMカートリッジと同様に針先部分の交換を行うことが可能です。針先のスタイラス部分交換の際は、可能な限りトーンアームからカートリッジを外した状態で作業することを推奨します。


なお、過去に「両チャンネルから音が出ない」というお問い合わせを頂いた際の最終的な原因として、カートリッジの針カバーを付けたままレコードを再生したケースもありました。カートリッジによってはデザインや機能上、針カバーとカートリッジ本体に一体感をもたせているものもありますので再生前には針先を確認するようにしましょう。


最後に、オルトフォン製品をご使用で、かつ本ページを読んで対応策を施しても状況が改善しない場合は、弊社お問い合わせフォームよりご質問下さい。担当者より折り返しご連絡させて頂きます。

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