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アナログオーディオ大全

2021.09.21
カートリッジ

カートリッジについて Vol.3 カンチレバー編

このページでは、「カートリッジについて」のVol.3をお送りします。本ページは、レコード針(カートリッジ)についての専門的な内容となる、カンチレバーに関する記述を中心としています。基礎的な内容の解説ページもございますので、先に「カートリッジについて Vol.1 基礎編」のお目通しをお勧めします。

 カンチレバーの役目・素材について

カンチレバーには、先端にスタイラスチップが、根元にはコイルを巻く芯であるアーマチュア(MCの場合)、もしくはマグネット(MMの場合)が取り付けられています。このスタイラスチップ、カンチレバー、アーマチュア(MC)もしくはマグネット(MM)部分までを振動子、これに(カンチレバーを支える)ダンパーゴムを含めた場合は振動系と呼びます(下図参照)。

カンチレバーの役目は、スタイラスチップがレコード盤の音溝から振動としてピックアップした音声信号を、アーマチュアやマグネットまで正確に伝達することにあります。また、使用中に曲がったり捻じれたりしないための強度と、それを保ったうえで軽質量であることも重要です。

カンチレバーの素材のうち、代表的あるいは特徴的なものは、

Ⅰ.アルミニウム合金

Ⅱ.サファイア

Ⅲ.ルビー

Ⅳ.ボロン

Ⅴ.ダイアモンド

が挙げられ、以下にその特徴を述べていきます。

Ⅰ.アルミニウム合金


カンチレバー素材としては最も一般的なものです。曲げや成型などの加工が容易であり軽質量であること、硬質な素材に比べ弾性に優れていることが利点です。アルミパイプの先端を平坦に成型したタイプと、先端部分の質量軽減を目的としてパイプを先端方向に向けて細くしたテーパードタイプがあり、テーパードタイプは主に上級ランクの製品に用いられます。なお「アルミ」カンチレバーと呼ばれてはいますが、純粋なアルミニウムでは強度不足のため、他種金属との合金素材を用いるのが一般的です。

また、DJカートリッジの一部ではカンチレバーの強度を上げるため、パイプ内部にもう1本アルミカンチレバーを通した、二重カンチレバー構造となっている製品もあります。

オルトフォンではこのアルミカンチレバーを、2M・MC Q・Cadenzaシリーズの多くと全てのDJカートリッジに採用しています。また、SPUシリーズのカンチレバーも全てアルミ製です。SPUがもつ独特のサウンドは、アルミカンチレバーでなくては出てきません。

下の動画は、本邦におけるアナログ研究の第一人者である海老沢 徹 先生が、カートリッジにアルミカンチレバーが多用される理由について解説しているものです。アルミカンチレバーに用いられている合金の組成など、非常に踏み込んだ内容についても述べられておりますので併せてご参照ください。


Ⅱ.サファイア


宝石系カンチレバー素材のひとつで、今回紹介する5種類の中ではダイアモンド、ボロンに次いで硬い素材です。このため、再生時の音色は硬質なHi-Fi調でクリアになる傾向があります。オルトフォンはこのサファイアカンチレバーを、MC Qシリーズの旗艦モデルであるMC Q30Sに採用しています。

Ⅲ.ルビー


真っ赤に輝くルビーもカンチレバー素材に用いられます。宝石系カンチレバー素材らしく、こちらもクリアで硬質なHi-Fi調の音色です。オルトフォンではMC Cadenza Blueにこのルビーカンチレバーを採用し、銀線コイルとあわせることでソリッドかつ煌びやかなサウンドに仕上げています。

Ⅳ.ボロン

今回紹介する素材の中ではダイヤモンドに次ぐ硬さ、カンチレバー内部での音の伝達速度を誇ります。またカンチレバー素材がもつ固有の音色感も少なく、極めて高品位なサウンドとなるのが特徴で、2M Black LVB 250MC Cadenza BlackおよびMC Windfeld Ti以上のハイエンドモデルに多く採用されています。

Ⅴ.ダイアモンド

最も硬く、最も速い。ダイアモンドは、カンチレバーとして至高の特性をもった素材です。さらにオルトフォンのダイアモンドカンチレバーは無垢単結晶につき、素材としての硬さと音の伝達速度は全ての物質の中でトップ、トランジェント特性に優れて(音の立ち上がり・立ち下がりが速い)おり、サウンドの微細なニュアンスや音色、そして「時間」までも完璧に伝送します。この特別なカンチレバーは、創立100周年記念モデルのThe MC Centuryで実用化され、現在はフラッグシップモデルのMC Anna Diamondにのみ採用されています。

スタイラスチップについての解説は、前ページの「カートリッジについて Vol.2 スタイラスチップ編」をご参照下さい。

カートリッジについて Vol.4 へ続く

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