ortofon JAPAN CO,LTD.

MC Diamond

-新たなる至高を示すもの。空芯、カーボン、Diamond―

創立100周年を記念して発表したThe MC Centuryより4年を経て、オルトフォンはその間に自社の至宝である無垢単結晶ダイアモンド・カンチレバーについての研究を進め、この特性をより深く理解するに至りました。この成果を存分に生かし、数多あるラインナップの頂点に君臨するフラッグシップモデルとして新たに誕生したのがMC Diamondです。金剛石のカンチレバーが秘める輝きの全貌は現在もなお未知数であり、これを用いたカートリッジが今後更なる技術的飛躍をみせることは言うまでもありません。しかしDiamondには、現時点で得られているオルトフォンの知見の全てが込められています。「正統な音」というオルトフォンの理念は、また一歩上のステージへと昇りました。

●出力電圧 (1kHz, 5cm/sec.): 0.2mV ●チャンネルバランス (1kHz): 0.5dB ●チャンネルセパレーション (1kHz): 25dB ●チャンネルセパレーション (15kHz): 20dB ●周波数特性 (20Hz-20,000Hz): +2/-1dB ●トラッキングアビリティー(315Hz、適正針圧下): 80μm ●水平コンプライアンス: 11μm/mN ●スタイラスタイプ: Special polished Nude Ortofon Replicant 100 ●スタイラスチップ半径: r/R 5/100μm ●カンチレバー素材: 無垢単結晶ダイアモンド ●適正針圧: 2.6g ●トラッキング角度: 23°●内部インピーダンス: 6Ω ●推奨負荷インピーダンス: 10Ω以上  ●コイル線材:超高純度無酸素銅 ●カートリッジボディー素材: SLMチタニウム ●自重: 17.5g ●JAN:5705796235555
定価
¥1,180,000(税別)
(税込¥1,298,000 )

新たにMWCNTを配合した、MC Diamond専用設計のダンパー素材

近年、オルトフォンはダンパーゴムの新たな研究の成果を、製品採用による実用化という形で結実させました。これは MWCNT(Multi Wall Carbon Nano Tubes、マルチ・ウォール・カーボン・ナノチューブ)と呼ばれる炭素微粒子をダンパーとなるゴム素材に配合させたもので、これまでのダンパー素材に比べ不要共振の減衰を意図する「制動」と、適切な角度や位置にカンチレバーを保持し続ける「支持」の性能が更に向上しています。このMWCNT配合のダンパーゴムはMC Verismoをはじめとした上位モデルで既に採用され、これまでの概念を一新するほどにクリアで躍動感に満ち、更にそれを高いレベルで両立しているとして世の絶賛を得ています。これを踏まえ、オルトフォンは新たなフラッグシップとなるMC DiamondにもMWCNT配合の専用ダンパーを新たに設計し、後に述べる高精度なダンピング・システムとともに採用する運びとしました。オルトフォンはDiamond専用ダンパーの生産にあたり、ダイアモンド・カンチレバーに最適な弾性や減衰レベルを微細にコントロール可能な自社のダンパー製造部門で仕様を決め、素材を配合するところから生産を行っています。カンチレバー素材内部における音の伝達が地球上最速であるダイアモンドの特性を十二分に生かすには、それに最適となるように設計・製造された高性能な自社生産のダンパーが不可欠です。

Ⅰ.時間すら表現する、無垢単結晶のダイアモンド・カンチレバー

一般的に、高性能なカートリッジに使用されるカンチレバーは高音域の解像度や定位感、空間表現力などに優れた素材が使用されます。ダイアモンド・カンチレバーもまた同様にこれらの要素に秀でており、高性能なカンチレバー素材の頂点に君臨しています。
また、ダイアモンドは地球上で最も硬いため、カートリッジが音溝からの音声信号をトレースして様々な加重が加わった際の変形が最も少なくなります。カンチレバーで生じる損失も同様に最少であるため、高音域は当然として低音域に至るまで極めて高解像度な、全てを見通すかのような再生が可能となります。低音域の解像度もあわせて重視する場合、このDiamondは必ずや期待に応えることでしょう。
そしてこのダイアモンド・カンチレバーでのみ明確に理解できるのは「時間」の表現です。ダイアモンドは素材内部での音の伝達速度がボロンやベリリウムを超えて最も速く、その結果トランジェント特性に優れ(音の立ち上がり・立ち下がりが速い)ています。このため、ダイアモンドの特性を理解した上で最適な設計がなされたカートリッジで音を聴くと、そのスピードの差を感覚で理解することができます。しかし一般的な素材のカンチレバーを使用したカートリッジで再生している時、それは意識されることすらありません。アルミやルビー、ボロンなど様々な素材のカンチレバーで比較試聴した後にダイアモンド・カンチレバーの音を聴き、また元の素材に戻した時、初めてそれを体で理解することができます。実際に聴かずして、この次元を味わうことはできません。

Ⅱ.空芯コイルの巻線は、超高純度の無酸素銅線

MC Diamondのコイル巻線には、クリアでワイドレンジ、そしてきめ細かく滑らかなサウンドを特徴とする超高純度の無酸素銅線が使用されています。Centuryの血統を受け継ぐ新たな頂点として計画された本機のコイル導体には、オルトフォンがこれまでに採用した数多のマテリアルが検討され、試聴が繰り返されました。その結果、歴代のフラッグシップに用いられてきた超高純度銅線をあらためて採用する運びとなりました。限りなく純粋な、コイル導体の個性すらも排した音をつくるためには、至高のマテリアルであるこの銅線が欠かせません。

Ⅲ.フラッグシップにのみ搭載された、WRADシステム

MC Diamondには、歴代のフラッグシップシリーズにのみ使用されてきたWRAD(Wide Range Armature Damping、ワイド・レンジ・アーマチュア・ダンピング)システムが採用されています。これは本シリーズに合わせて実用化されたもので、オルトフォンの特許技術であるWRD(Wide Range Damping、ワイド・レンジ・ダンピング)システムを更に進化させ、シリーズ特有の空芯コイルを支えるアーマチュア(巻芯)の大口径化やそれに伴う磁気回路の大型化によって生じたスペースを活用し、ダンピング・システムの更なる高精度化を目指したものです。十字型の非磁性体アーマチュアの先端をボビン状とし、相対するダンパーゴムには中央に凸型のリブを入れてアーマチュア先端と嵌合のうえ密着させることで、カンチレバー動作時の制動と支持をより完全なものとしています。樹脂やゴムなどの軟質な非金属素材の加工・成型を得意とし、その技術を活かして高精度な医療機器の部品も生産しているオルトフォンだからこそ実現した機構です。

Ⅳ.大型で強力、オルトフォンの夢を具現化した空芯タイプの磁気回路

MC Diamondは、非常に大型で強力な磁石を搭載した専用の磁気回路を搭載しています。本機に使用されている磁気回路は、かつてオルトフォンがSPUで実用化し今日では「オルトフォン・タイプ」と呼称されているものを源流としています。しかし、この新世代型磁気回路が生み出すパワーはかつてのそれとは比べようもない程に強く、SPUの「オルトフォン・タイプ」磁気回路が純鉄を用いた鉄芯タイプのアーマチュアを併用して出力電圧を確保していたのに対し、MC Diamondに用いられている新世代型は非磁性体の素材を用いた空芯コイルであるにもかかわらず同程度の出力を可能としています。本来、空芯タイプは一般的な鉄芯タイプのように純鉄のアーマチュアによるサポートを受けられないため、同条件下では出力を稼ぐことが難しく、そのままでは実用に耐えないほど小さな音量となってしまいます。これは空芯タイプの宿命ともいえますが、これを克服するためにオルトフォンは多くの歳月をかけて研究を重ね、ついに特殊な製品との併用を前提とせずに実用レベルの電圧を出力可能とした、強力かつ高効率な磁気回路の開発に成功。このハイパワーな回路に支えられ、本機は空芯コイルを使用したモデルでありながら一般のMCカートリッジと同レベルの0.2mVという高い出力を誇ります。

Ⅴ.SLMチタンとTPEボトムカバー

大型で強力な磁気回路を支えるため、MC DiamondではSLMテクノロジーを用いてチタン粉末をレーザー溶融し、三次元的に一体成型した優美なラインが特徴的なハウジングを採用しています。Diamondにのみ用いられているこの磁気回路を強固に保持し、また支えるために本機のハウジングは同じダイアモンド・カンチレバー使用モデルのMC Verismo(カートリッジ全体の自重9.5g)と比較すると非常に大きく、またカートリッジ全体の自重もほぼ倍の17.5gとなっています。この質量差はそのままサウンドにも反映されており、両者はともに非常にシャープで高解像度な低音域を誇るものの、重心が低く腰の据わったサウンドをねらう場合はより質量のあるDiamondに軍配が上がります。本機は現代のオルトフォンが誇る最先端技術の結晶ではありますが、重質量によってサウンドに安定感をもたらす手法はSPU以来オルトフォンが得意としてきたものでもあります。そういった意味でも、Diamondはオルトフォンのフラッグシップに相応しい威容を誇ります。さらにSLMで成型されたチタンハウジングの底面には、カンチレバーを経由して振動系やカートリッジ本体へと伝わってくる不要な共振をシャットアウトするためにTPE(Thermo Plastic Elastomer、サーモ・プラスティック・エラストマー)のボトムカバーが取り付けられています。ゴムに似たこのエラストマー素材を使用することで、ハウジングは完全な剛体とならずに適度な不要共振の減衰を得ることが可能となります。柔よく剛を制すという言葉の通り、カートリッジのハウジングはただ硬いだけでは共振をコントロールすることはできません。ボトムカバーに「柔」のTPE、ハウジングに「剛」のチタンを用いて双方に対して完璧な対策を行うこと、これこそがあるべき理想の姿と考えます。

サウンドの伝達において最速を誇る『Diamond』の勢いそのままに、もっと先へ。為されるべきは手綱を引くことではなく、さらに拍車を入れることです。オルトフォンが示す究極は、次の理想が存在する限り留まるところを知りません。

Nothing added.Nothing taken away.
Simply the most AUTHENTIC vinyl experience in the world.