ortofon JAPAN CO,LTD.

EQA-2000

トランス昇圧とバランス接続。これがレコード再生の、そしてオルトフォンの理想

フォノイコライザーアンプに要求されるもの、それは大きく分けて2つあります。レコード盤に刻まれる前の音声信号は大小さまざまな振幅をもっていますが、幅が概ね決まったレコードの音溝に収めるためにはこれにRIAAカーブをかけてイコライジングする必要があります。もちろんそのままでは正常な音楽再生は出来ないため、RIAAカーブのかかった信号を元通りに戻して適切なレベルに増幅すること、これが1つ目です。そして2つ目は、アンプ内蔵のPHONO入力には望めない、単独製品ならではの高音質や特化した機能です。オルトフォンはこれを強く意識し、新たなフラッグシップモデルとなるEQA-2000を開発しました。自社でラインナップしている多数のMC/MMカートリッジはもちろん、様々な製品との適合も想定したハイクラスなフォノアンプの決定版です。

入力設定「MC 1a」時 ●対応インピーダンス(推奨MCカートリッジ内部インピーダンス):5-50Ω ●入力感度/インピーダンス:220μV/150Ω  入力設定「MC 1b」時 ●対応インピーダンス(推奨MCカートリッジ内部インピーダンス):~10Ω ●入力感度/インピーダンス:100μV/25Ω  入力設定「MC 2」時 ●対応インピーダンス(推奨MCカートリッジ内部インピーダンス):2-60Ω ●入力感度/インピーダンス:140μV/200Ω  入力設定「MM」時 ●入力感度/インピーダンス:2.8mV/47kΩ  入力系統(MC):バランスXLR 2系統 ●入力系統(MCトランス用):バランスXLR 1系統 ●入力系統(MM):アンバランスRCA 1系統 ●出力系統:バランスXLR・アンバランスRCA各1系統 ●バランスXLR端子:入出力ともに2番HOT/3番COLD/1番GND ●サブソニック・フィルター:-8dB/10Hz ●電源電圧:AC100V、50/60Hz ●消費電力:5W ●外形寸法 W/H/D:425/75.5/360(㎜)、ツマミ端子含む:425/75.5/390(㎜) ●自重:9.2kg●JAN:4571106664497
定価
¥540,000(税別)
(税込¥594,000) ※予価

Ⅰ.バランスオンリー、さらに2系統のMC入力

オルトフォン史上最高のフラッグシップとなるべく開発された、EQA-2000。その最大の特徴は、MCポジジョンの入力系統からアンバランス入力を排除し、全てをXLR端子によるバランス入力としたことです。バランス伝送を用いてMCカートリッジを再生した際のS/N感と空間表現の良さについては今や記すまでもありませんし、オルトフォンも既にバランス伝送を想定したMC昇圧トランスST-90やフォノケーブル6NX-TSW1010Bを発表しています。しかし、自社製品でMCのバランス入力に対応したフォノアンプはこれまで存在しなかったため、EQA-2000ではこれを最優先事項として仕様が策定されました。
バランス入出力の最初と最後の接点となるコネクターには、中欧リヒテンシュタイン侯国に本拠を構えるNEUTRIK社製のXLRレセプタクルコネクターを採用。出力電圧0.2~0.5mV程度という極めて微細なMCカートリッジの音声信号を確実に伝送させ、またアナログ再生時に頻発しうる端子の接触不良を避けるためには極めて高品質なプロフェッショナル仕様のコネクターでなくてはならないため、オルトフォンは長年にわたって数多くの製品にNEUTRIK製コネクターを使用し続けています。
また、本機のMC入力は2系統まで接続可能となっており、この入力切替はフロントパネルの「MC INPUT」セレクターノブを回すだけで容易に行うことが可能です。ハイエンドなアナログ再生環境では再び標準となりつつある、ダブルアームやプレーヤーの2台使用への対応を念頭とした仕様です。

Ⅱ.トランスによるMC昇圧へのこだわりと、厳選された2種類のユニット

SPUの時代から、オルトフォンは自社のMCカートリッジに向けて様々な昇圧トランスを生産してきました。真空管やトランジスタなどに代表される増幅素子のローノイズ化が進むまではトランスによる出力電圧の昇圧がほぼ唯一の方法であり、今日においては古典的手段と捉える向きもあります。しかしトランス昇圧時特有の力強い音色に魅了されるアナログファンも多く、これを指してアナログ再生の王道ともいわれるほどに根強い人気を誇ります。
そしてMC昇圧トランスは時代とともに進化を続けており、極めて高解像度・ワイドレンジな現代の高性能なカートリッジともマッチする製品も多数登場しています。こういった経緯もあり、オルトフォンは現在に至るまでMCカートリッジの音量アップには昇圧トランスの使用を推奨しています。そのこだわりはフォノアンプの歴代モデルにも反映され、最初に発表した高級モデルEQA-1000ではMC入力は別途に昇圧トランスを使用することを前提として入力はMMポジション1系統のみという思い切った構成でした。改良型のEQA-1000Tαではシャーシ内部に昇圧トランスを内蔵する仕様にアップグレードされ、以降はこれを自社フラッグシップのスタンダードな仕様としています。
EQA-2000では、先代のフラッグシップモデルEQA-999で実現したMC昇圧トランス2種類の搭載という仕様もあわせてこれを継承し、1つ目にはμ-metalと呼ばれる合金素材のケースに納められた北欧スウェーデンのLundahl社製オルトフォン特注トランスユニットを、2つ目にはパーマロイのケースに納められた本機専用設計の日本製トランスユニットを採用し、万全のノイズ対策を施した上で双方をバランス入力に対応させています。
この内蔵トランスは、フロントパネルの「SELECTOR」ノブを回すことで2種類のトランスとその対応インピーダンス範囲の切替(Lundahl製ユニットのみ)を行うことが可能です。昇圧トランスによるMC再生の魅力を誰よりも知るからこそ、1台で様々なサウンドを楽しめるようにとオルトフォンはこの仕様にこだわりました。
そして多機能でありながら、その大半の操作をフロントパネルのセレクターノブ2つに集中させることで可能な限り簡便とすることも心がけています。

Ⅲ.MC昇圧トランス接続用とした、MMポジションのバランス入力

充実した2系統のバランスMC入力を備えるEQA-2000ですが、その隣のMMポジションにもバランス入力端子が1系統備えられています。これはオルトフォン ST-90のような、入出力ともにXLR端子によるバランス伝送が可能な昇圧トランスからの入力を想定した仕様です。ここにバランス対応の昇圧トランスを接続した場合、本機1台でバランスMC入力3系統の接続が可能となります。

Ⅳ.高品質な素子を採用したイコライジング回路

MC・MMそれぞれの入力信号は、最終的にRIAAカーブのかけられた音声信号を元に戻すためのイコライザー回路を通ってから出力端子へと向かいます。NF型を採用したこのイコライザー回路は、MC入力回路とはアースラインともども独立した別基盤となっており、極めてクリアで緻密な表現を可能とした本機のサウンドを支える生命線となっています。
また、本機には超低音域をカットするためのサブソニック・フィルターが搭載されており、使用環境によって再生時にハウリングや低音域のノイズなどが入ってしまう場合はこのスイッチをONとして超低音域をカットし、アンプや特に大口径のスピーカーユニットを保護することが可能です。小口径スピーカーの多い現代では使用されることの少ない機能ではありますが、環境によっては必要となる可能性もあるため安全策として盛り込まれました。

Ⅴ.Rコアトランス採用、ノイズ対策を万全とした電源部

EQA-2000の電源トランスには、小型で漏洩磁束の少なさに定評があり、高級オーディオ製品での使用実績を多数もつRコアトランスを採用。これまでのEQAシリーズやインテグレーテッドアンプLMAシリーズなどの歴代モデルに使用されたこのトランスは本機にも引き続き採用され、EQA-2000専用の電源トランスとして新規設計が行われました。
さらに振動やノイズ対策として、電源トランスは専用のケースによって配線部を除き完全に覆われています。本機は電源トランスとMC昇圧トランスを同一シャーシに内蔵したフォノアンプである以上、その対策は万全でなくてはなりません。その源となりうる電源部には、通常のアンプ以上に徹底したノイズ対策が施されています。

※「Rコアトランス」は北村機電株式会社の商標です。

Ⅵ.高剛性な肉厚シャーシによる共振の排除

本機のシャーシは、薄型でありながらその自重は9.2kgに達します。この重量は肉厚のある鋼板のメインシャーシとその内部のシールド用インナーシャーシに占められるところが大きく、不要共振が排除されることで結果的にS/N感の向上にも寄与しています。またメインシャーシに取り付けられた脚部は、カートリッジ開発で培われてきた制震技術を応用しアルミ切削材とゴムを重ねたハイブリッド構造としました。不要な振動は、プレーヤーだけでなくフォノアンプにとっても好ましくありません。EQA-2000の誇るバランス伝送時の透き通ったサウンドと定位感は、この高剛性で重いシャーシにも支えられています。

EQA-2000は、「フォノイコライザーアンプとはかくあるべき」とオルトフォンが抱き続けてきた理想をそのまま具現化させた、これまでの集大成ともいえる製品です。愛聴盤のグルーヴに刻まれ、カートリッジがピックアップした音楽をただ忠実に昇圧し、元に戻す。本機の役割はただそれだけです。これまでに繰り返し聴いて、音色の熟知を自負している盤に針を下ろしてボリュームを上げた時、まるでスピーカーからヴェールを取り去ったかのような別次元の世界が、眼前一杯に広がることでしょう。

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