このページでは、「カートリッジについて」のVol.31をお送りします。
本ページは、レコード針(カートリッジ)についての専門的な内容となる、オルトフォンのDJ用カートリッジVNL TRIX/DANCEについての説明を中心としています。基礎的な内容の解説ページもございますので、先に「カートリッジについて Vol.1 基礎編」および「カートリッジについて Vol.19 DJカートリッジ編Ⅲ」のお目通しをお勧めします。
既に「カートリッジについて Vol.19 DJカートリッジ編Ⅲ」で述べたDJ用カートリッジ、VNLには上位モデルのVNL TRIXとDANCEが存在します。本ページでは、前回のConcorde MkⅡ Eliteに引き続いてこのVNL TRIXとDANCEを中心に、DJ用カートリッジについての解説を行います。
上の動画は、VNL TRIXとDANCEを紹介するPVです。「飛ばない」針としての定評を確固たるものとしたVNLを更に発展させたモデルであるTRIX/DANCEは、クラブシーンから多く寄せられたパワーアップ版を望む声によって誕生しました。
VNL TRIXおよびDANCE最大の特徴は、10mVの大出力に支えられたパワフルな音色です。DJ用カートリッジにおいて、このパワフルさはひとつの正義です。しかし、接続先機器との兼ね合いや闇雲なパワーアップによる音割れ、再生音の歪みなどの懸念点があったため、スタンダードモデルのVNLでは出力電圧を標準的な6mVとしました。
しかし、VNLのパワーアップ版を望む声は非常に多く、これに応えるためにオルトフォンは新たなモデルを企画しました。ハイパワーであることと、再生音のクリアさや明瞭さや音の良さを両立させるため、磁気回路やダンパーは専用設計となり最良のポイントが探られました。この試行錯誤の結果、大音量・クリア・パワフルの全てを備えたVNL TRIX/DANCEの開発に成功。クラブシーンからの声に応えると同時に、パンチが効いた鮮烈な音のMM型カートリッジの決定版としても定評を得ています。

VNL TRIX/DANCEのスタイラス(針先部分)には、暗照明下での視認性向上を目的として蛍光樹脂を用いています。なおこの2機種の黒色のカートリッジ本体部分は共通で、TRIXは白、DANCEは黄色の蛍光色を纏ったスタイラス(針先部分)を備えています。

加えて、それぞれのスタイラスには異なる形状のスタイラスチップが用いられている(後述)ため、スタイラスを挿し換えることで容易に機種の変更を行うことが可能です。ちなみに、針先の互換があるのはTRIXとDANCEの間のみで、黒色のスタイラスを備えたノーマルモデルのVNLとの互換はありません。
カートリッジとヘッドシェルが一体型となっているConcordeシリーズと異なり、VNLシリーズはヘッドシェルへの取付作業を必要とします。その作業方法は上の弊社公式YouTube動画で紹介しておりますので、お目通しの上で作業を行ってください。なお、VNLおよびVNL TRIX/DANCEを含むVNLシリーズは全て本体形状が共通につき、各機種での作業方法は同一です。

ちなみに、VNLシリーズにはこのヘッドシェル取付が既に行われているPremounted(プリマウンテッド)モデルもあります。VNLではSH-4 BLACKが付いたVNL Premounted、VNL TRIX/DANCEではSH-2 BLACKが取り付けられたVNL TRIX Premounted on SH-2/VNL DANCE Premounted on SH-2がそれぞれラインナップされています。
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これらのモデルは、製品をパッケージから取り出してすぐに使用可能という点でConcordeシリーズと同一の利便性をもちます。リードワイヤーの配線を行う必要もないため、作業に不安のある方はPremountedシリーズのご検討を推奨します。

白色のスタイラス(針先)を備えたVNL TRIXは、アルミカンチレバーに丸針を備えています。そのため、再生音のクリアさやレンジ感はDANCEが勝りますが、前ページで解説しているように激しいスクラッチやバックキューイングを多用するDJプレイには適したカートリッジとなります。


黄色のスタイラス(針先)を備えたVNL DANCEは、アルミカンチレバーに楕円針を用いているためTRIXよりも音溝の読み取り能力に優れます。そのため、よりクリアで高解像度な音楽再生を可能としています。パンチの効いた鮮烈な音色のMM型カートリッジを、リスニング用途として検討している方にもお勧めします。

カートリッジについて Vol.32につづく(工事中)