ortofon JAPAN CO,LTD.

【NEW】SPU GTE 105

鮮烈と躍動。新規開発されたトランス内蔵の「GTE」、ついに復活

圧倒的なエネルギー感に支えられた鮮烈さ、そして躍動感。古のオーディオファイルたちに強烈な記憶を残し、伝説の銘品として語り継がれてきたSPU GTが、オルトフォン創立105周年という節目の年に楕円針の「SPU GTE 105」としてレギュラーモデルに復活しました。

誕生当初よりアナログファンからの憧憬と期待を受け続け、その魅力的な音色によってこれに応えてきたSPU GTは、オリジナルモデルの生産完了から約40年、1994年のSPU Classic GT/GTE限定復刻からも約30年が経過しており、年を重ねるごとに追憶の彼方へと消えつつあるのが現状です。しかし、GTの奏でる骨太なサウンドは時代を超えて愛され、熱心なファンの皆様からの復活とレギュラー化を願う声は高まるばかりでした。我々もなんとかこの想いに応えたいと考え、北欧スウェーデンのLundahl社と共同で「GT」の肝である内蔵トランスの開発に明け暮れること数年。この2023年、ようやくレギュラーモデルとしての製品化を実現させました。なお、SPU GTシリーズには音色以外にも大きな特徴が2つあります。1つ目はMC昇圧トランスをヘッドシェルに内蔵したことにより、別途のMCヘッドアンプや昇圧トランスを必要とせず、アンプのMM入力にそのまま接続可能であること。そして2つ目は通常のMC型カートリッジの本体部分にあたるユニットのすぐ後ろに内蔵トランスがあるため、ユニット部分がピックアップした音声信号を減衰させずにすぐ後ろのトランスで昇圧でき、一般のMC型カートリッジよりも出力が高い状態でアンプまでの信号伝送が可能という点です。最初に述べた「MM用のPHONO入力に直結可能なMC型カートリッジ」という特徴は、結果的にもう1つの特徴へと帰結し、これがGTシリーズ固有のパワフルな音色へと繋がっています。

●出力電圧 (1kHz, 5cm/sec.): 4mV ●チャンネルバランス (1kHz): 1.5dB ●チャンネルセパレーション (1kHz): 20dB ●チャンネルセパレーション (15kHz): 10dB  ●周波数特性 (20Hz-25,000Hz): ±3dB ●トラッキングアビリティー(315Hz、適正針圧下): 60μm ●水平コンプライアンス: 10μm/mN ●スタイラスタイプ: Elliptical ●スタイラスチップ半径: r/R 8/18μm ●カンチレバー素材: アルミニウム ●適正針圧: 4.0g ●針圧範囲: 3.0-5.0g ●トラッキング角度: 20° ●内部インピーダンス: 610Ω ●推奨負荷インピーダンス: 47kΩ ●コイル線材:OFC ●カートリッジシェル素材:ABS樹脂  ●自重: 34g ●JAN:5705796240498
定価
¥190,000(税別)
(税込¥209,000)

Ⅰ.スウェーデン・Lundahl社との新規共同開発による昇圧トランス

本機を含むSPU GTシリーズの「T」は、トランスのTを現しています。GTシリーズ専用に設計されたこのMC昇圧トランスこそ、本シリーズにのみ固有の鮮烈なサウンドを生み出す要であることは言うまでもありません。SPU GTE 105の開発に際し、オルトフォンが最初に取り掛かったことは専用昇圧トランスのリニューアルでした。様々な候補を経た上で決定されたのは、同じく北欧スウェーデンに在するLundahl社との共同開発プロジェクト。当初はLundahl社の得意とするアモルファス・コアの採用が検討されましたが、「GT」らしい鮮烈なサウンドとは異なったために更なる推敲が重ねられ、パーマロイのEIコアが採用されました。なお、トランスの「リニューアル」は内部の巻線部分だけにとどまらず、歴代シリーズで初めてトランスケースをヘッドシェルに直接固定する構造としたことも挙げられます。更にはGタイプユニット→昇圧トランス→ヘッドシェル間の配線方法も見直され、GTの鮮烈なエネルギーをそのままに伝送可能としています。

Ⅱ.「GT」シリーズ専用、新規開発のGタイプヘッドシェル

オルトフォンといえばSPU、そしてSPUといえばGタイプのヘッドシェルだと評される程に象徴的な存在となった「Gシェル」は、SPUの誕生当初からの長い歴史をもっています。そしてこのGシェルが開発された理由こそ、MC昇圧トランスをヘッドシェル内蔵とした旧SPU GTシリーズの登場に他なりません。オルトフォンはこれを強く意識しており、今回SPU GTE 105の開発にあたって今までに存在したどのGTシリーズ用ヘッドシェルとも異なる、新時代のGT用ヘッドシェルを完全新規設計で作製しました。このシェルは外観こそ皆様のイメージするGシェルそのものではありますが、素材には軽質量で堅牢、更には理想的な共振吸収性能を得られるABS樹脂を採用。そして従来使用されていたシェル内部のスペーサーを廃してSPUユニットを取り付けるベース部分をシェル本体と一体成型とし、不要共振の低減を目指しています。そしてトランスケース表面とヘッドシェル内側とのクリアランスも狭められ、シェル内部にトランスが嵌め込まれたかのような固定が可能となりました。不要な共振は排除しつつ、Gシェル特有の豊かな響きはそのままに。往年の銘機たちともひと味異なる、新世代のGシェルだけが持つ音色の妙味をお楽しみください。

Ⅲ.王道のアルミカンチレバーとアルニコマグネット

半世紀以上にわたって愛されてきたSPUシリーズには、古くから受け継がれてきた「王道」ともいえる仕様があります。まずはカンチレバー素材にアルミパイプを用いることですが、これは現在に至るまで全てのSPUに共通です。次にスタイラスチップを丸針か楕円針とすること、そして「オルトフォン・タイプ」と称される磁気回路のマグネット素材をアルニコとすること。この2つはオールドSPU以来の伝統的な仕様で、一部の現代型モデルを除いた多くのSPUシリーズに用いられてきました。SPU GTE 105ではこの王道をすべて踏襲することで、本モデルの目指すところを示しています。伝統の仕様はそのまま、リファインすべき箇所には全力を注ぐ。これが新たな「GT」に対する、オルトフォンの姿勢です。

唯一無二ともいえる力強い「GT」のサウンドは、我々もまた長きにわたり復活を切望し続けていたものでした。オルトフォン創立105周年にレギュラーモデルとして蘇ったこの音色は、半世紀前のオーディオファイルに与えた衝撃までもそのままに具現化させたものと確信しています。アナログの醍醐味という言葉は、このGTの為にあり。愛聴盤の魅力を再認識させてくれる「伝説」とともに、より豊かなレコード再生を存分に堪能しましょう。

【公式YouTubeチャンネル】アナログ研究・技術評論の第一人者、海老沢 徹 先生による解説動画