ortofon JAPAN CO,LTD.

AS-212R / AS-309R【Coming soon】

―「R」はReference。スタティック・バランス型トーンアームの決定版―

デンマークのカートリッジメーカーであるオルトフォンは、業務用途を目的とした高性能な自社製品の再生を行うためにスタートさせたトーンアームの開発・生産も古くから行っています。1950年代に初のトーンアームを発表して以来、スタティック・バランス型のSMGシリーズ、今なおダイナミック・バランス型の銘機として名高いRMA/RMGシリーズやRFシリーズなどの様々な製品を生み出してきました。
これらに続いて誕生したASシリーズは、アーム本体にレストやリフターを備えた現代の標準的なスタティック・バランス型トーンアームとして誕生し、9インチショートモデルの「212」と12インチロングモデルの「309」をラインナップしながらモデルチェンジを重ねて現代に至ります。
新たに開発された本シリーズは製品コンセプトをReference(リファレンス)と定め、数多あるトーンアームの基準器となるような精度と堅牢さ、またこれらに支えられて現れる「正統な音」によって、レコード盤の音溝からカートリッジがピックアップした音声信号をよりハイ・フィディリティ(Hi-Fi、高忠実度)なまま伝送させることを目指し、これを現実のものとしました。
歴代シリーズで培われた知見を活用し、そして最も高精度なトーンアームとなったAS-212/309Rは、「Reference」の名そのままにカートリッジと愛聴盤の魅力を最大限に引き出します。

●アーム軸中心→センタースピンドル:214㎜(AS-212R)/311㎜(AS-309R) ●オーバーハング:18㎜(AS-212R)/12.5㎜(AS-309R) ●針先→シェル後端:52㎜ ※暫定仕様値 ●針圧対応範囲:0~3g(標準ウェイト時) ●カートリッジ対応自重:18~28g(標準ウェイト時、シェル含む) ●本体重量:600g(AS-212R)/ 670g(AS-309R)
予価:税別 ¥400,000 台

Ⅰ.新装成った、伝統のASシリーズ

オルトフォンのスタティック・バランス型トーンアームは、1970年代に発表された初代AS-212以来、代々「AS」の型番を冠しています。このAS-212や続くAS-212 MkⅡはアンチスケーティングやアームリフターを備え、さらにスタティック・バランス型アームの感度を活かして当時の主流であった軽質量なカートリッジの再生に主眼を置いていました。しかし時代の変遷とともに、ASシリーズを用いた重質量カートリッジの再生も望まれるようになります。オルトフォンはこれに応え、続くモデルではアーム本体の高剛性化を行い、重量級カートリッジの使用にも耐えられる堅牢な仕様を追求しています。そしてこのAS-212/309RではSPUシリーズやConcordeシリーズの使用を想定して針先→シェル後端の長さを52㎜設定とし、またヘッドシェルとカートリッジの合計自重が30gを超える重質量カートリッジの再生にも対応。そして、アームパイプを欧州で主流のベアワルド(Baerward)・アライメントに準拠させています。

Ⅱ.取り扱いの容易な、スタティック・バランス型トーンアーム

AS-212/309Rは、取り扱いが容易でシンプルなスタティック・バランス型の針圧加圧機構を採用しています。ユニバーサル型のヘッドシェルコネクターにカートリッジ付きのヘッドシェルやSPUなどのヘッドシェル一体型カートリッジを取り付け、ゼロバランスを取ってから針圧を加圧、そしてアンチスケーティングを調整した後にレコード盤へと針を下ろす。新たなASシリーズは、我々の体に染み付いた一連の操作を行うだけで高品位なレコード再生を可能とするトーンアームです。※下記動画ではスタティック・バランス型トーンアームについて解説しています。

Ⅲ,アルミ製アームパイプの採用

シンプルなスタティック・バランス型の構造と、高精度なピボット(円錐形の回転軸)とベアリングの採用によって実現した高感度を十全に生かすため、AS-212/309RのS字型アームパイプには金属の中では軽質量で真鍮やステンレスなどに比べ固有の付帯音が少ないアルミニウムが使用されています。そのため重質量な金属素材に比べてアームパイプ先端方向の実効質量を小さくすることができ、特にMM型に多い軽針圧・軽質量なカートリッジの再生も考慮した仕様となっています。そしてこのアルミ製アームパイプの内部に配線されたインナーワイヤーも、アームの感度低下を防ぐために被覆の柔らかな極細銅線を採用。インナーワイヤーの選定に際しては様々な導体や被覆、また太さの線材を用いた検証が行われましたが、アームの機械的動作を最も妨げないという理由でこの素材が選定されています。

Ⅳ.高精度な真鍮切削部材を多用した機構部分

先に述べた通り、本シリーズではアームパイプに軽質量なアルミを採用しています。しかし、アームパイプを含む可動部の軽量化は実効質量のローマス化という点で極めて重要ではありますが、ここの極端な軽量化は取り付け可能なカートリッジの選択範囲を狭め、結果として軽質量・軽針圧なカートリッジ専用のトーンアームともなってしまいがちです。しかしながら「オルトフォンのトーンアーム」である以上、SPUに代表される重質量・重針圧なカートリッジが使用可能であるという期待を避けて通ることはできません。この相反する要素の両立という高度な難問に対し、オルトフォンが出した答えは各パーツの素材を使い分けて動作時の質量を適切に配分することでした。ピボットやベアリングが組み込まれたアーム中心部のピボットケースや、これらの機構部分とリフター、レスト、アンチスケ―ティングを支えるベース部分とシャフトには剛性に優れた真鍮の切削材を使用。アームの支点に近い中心部分や、プレーヤーに固定されて再生時に動くことのないベース部分には積極的に質量のある素材を用いてリジッドな機構部と土台を形成し、再生音の安定感と重心を適切にコントロールしています。
なお本方式の唯一の例外として、アームパイプ先端のシェルコネクター素材を真鍮としたことが挙げられます。理論上では、この箇所には軽量なアルミの使用が望ましいところです。しかし頻繁なヘッドシェルの挿抜に伴う摩耗を避け、コネクターの機械的寿命を延ばすためにはこの選択が最良であるという判断に至りました。その代わりに、コネクターの黒いロックナット部分は表面のローレットを細かく彫り、本来の滑り止めとしての役目を更に十全としながら部材の肉抜きも兼ねさせることで、強度を保ちつつ可能な限りの軽量化を図っています。

Ⅴ.低音域での共振を防止するためのダンピング・システム

AS-212/309Rのカウンターウェイトを取り付けるウェイトシャフト基部には、低音域での発生が懸念される部分共振への対策としてダンピング用のラバージョイントが組み込まれています。このジョイントでアーム本体からウェイトシャフトを浮遊させ、部分共振を抑えることでハウリング対策をより強固なものとし、またそれに伴うS/N感の向上をもたらしています。

高精度、堅牢、そして使いやすさ。業務用モデルから連綿と続く、オルトフォンのトーンアームに通底する理念はこの「Reference」にも受け継がれています。